Days on the Rove

好事家風情の日常。読書と散歩と少々の酒。

ミリオンダラー・ベイビー

ミリオンダラー・ベイビー
クリント・イーストウッド, ヒラリー・スワンク, モーガン・フリーマン
ポニーキャニオン ( 2005-10-28 )
おすすめ度:アマゾンおすすめ度
 

昨日BSで放映されていた映画ミリオンダラーベイビー(’04、米)を見た。
主演・監督・制作は現代唯一無二の生粋の映画人クリント・イーストウッド。

猫綱の個人的ベスト1映画である。人間の矜恃、尊厳を深く追求した映画なのである。
決して、公開当時に振られた彼女を未練がましく強引に誘って見に行ったという阿呆な過去(爆)でベスト1なのではない。
(ただ...その子に『デートで見るようね映画じゃないわね』と言われたのも、懐かしい記憶ではある(爆沈))

まあ、そんな個人的な事はさておき、この映画は愛の映画なのである。

しがないボクシングトレーナーの主人公が、彼の教え子である女性ボクサーがKOを奪った時、彼女に「モ・クシュラ(Mo Chúisle)」と口パクで賛辞を贈る。

その言葉は古アイルランド語であるゲール語、彼女は意味を尋ねるがイーストウッドは教えようとしない。
(映画の途中で、イーストウッドがゲール語を学ぶシーンも前フリとして出てきます)

映画の最後でその言葉「モ・クシュラ(Mo Chúisle)」の意味を伝える。

「おまえは私の親愛なる者、おまえは私の血(My darling, my blood)」

(本当は「おまえは私の親愛なる者、おまえは私の鼓動だ(My darling, my pulse)」が正しいらしいです)
つまりは愛の言葉だったわけだ。別に恋愛感情というわけではなかったのだろうけど.....

さらに主人公がその一節を読んでいるイェイツの詩も興味深い。

”The Lake Isle of Innistree"

I will arise and go now, and go to Innisfree
And a small cabin build there, of clay and wattles made;
Nine bean-rows will I have there, a hive for the honey-bee,
And live alone in the bee-loud glade.
And I shall have same peace there, for peace come dropping slow

”イニスフリー湖島”

ああ、あすにでも行こう、あの島へ
そしてあそこに小屋を立てよう
壁は泥土、屋根は茅葺でいい
豆の畑は畝を九つ
その蜂たちの巣はひとつ
その蜂たちの羽音のなかで独り暮らそう
ああ、あそこなら、いつかは心も安らぐだろ う
安らぎはきっと、ゆっくりくるだろう(加島祥造訳)

主人公とヒロインが求めた心の平穏はそこにあったのだろうか...

映画中、レモンパイ(手作りで美味しいの)があるダイナーの話が出てくる。
そういうダイナーで隠居暮らしして見たい物だ、と。
その話とこの詩が繋がってくるわけだ。なるほど。

視聴後の一抹の苦さ(イーストウッドの映画には多い)に何かを感じる・考えさせられる映画です。

 

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