Days on the Rove

好事家風情の日常。読書と散歩と少々の酒。

[企画展]The Archives of the Planet 100年前の世界へ

●The Archives of the Planet 100年前の世界へ -アルベール・カーン平和への願い-→HP
神奈川県立地球市民かながわプラザ[横浜・本郷台](2/2〜3/13)
入場無料
見学日:2011/02/08

100年前のフランスの財界人、アルベール・カーンが世界各地にカメラマンを派遣し、その土地の生活、風俗、自然、建物を記録させたアーカイブの展示。

写真に収めさせた理由が『平和のためには、異なる民俗や文化を敬い相互に理解することが重要だ』というから恐れ入るばかりである。
(実際彼が組織した知的協力国際委員会がのちのユネスコになるので、その功績は計り知れないわけだ)

金持ちが学者を派遣〜なんて話を聴くと、民俗学者・宮本常一と財界人・渋沢敬三とのことを思いだしたのが、実際にカーンは渋沢敬三の祖父渋沢栄一と交友があり、先に挙げた知的協力国際委員会の日本支部長を務めていたりするので、宮本常一を支援したのもカーンの行動に感化されたのかもしれないと考えていたりする。

展示された写真は100年ほど昔の写真。大正天皇御大葬や第一次世界大戦の写真も多くあるけれども、アジアやアフリカの写真が特に素晴らしい。
生活感に溢れた日常の写真というのは残りにくいものだけれど、そういった物が記録されていたおかげで、その土地その時代の風景、文化、生活といったものが、くっきりとわれわれの目の前に現れてくるわけだ。

特に各地の民俗衣装のスタイルが面白くてならなかった。今はユニクロをはじめとするファストファッションの中に埋没しているけれども、民俗衣装こそその風土、民族、歴史のなかでそれぞれの機能性追求と、文化的美意識が働いた結果なわけであるから、それぞれが素晴らしいものであると感じさせられた。

当時の天然色写真についての展示も興味深かった。
オートクロームと言う方式だそうで、何色かに染めたジャガイモの澱粉(!)を不規則に感光板の上に散らし、それによって一枚の感光板に多色感光させるのだそうだ。
実際にはそれにクロッキーでシャープネスを掛けたり、彩色して彩度を上げているようなので、今のデジタル写真をたいして変わらないのかもしれないな(笑)

最後に横浜主義者(笑)として特筆すべきは、横浜の写真が二枚だけあったこと。
三渓園の写真と新山下地区の集合住宅(震災住宅なのかな?不明)の写真。新山下の写真は横浜の写真アーカイブに加えたくなるような写真でしたよ!

期間が長いのでもう一度訪れるつもり。

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