展覧会名:生誕100年 松本竣介
場所:神奈川県立近代美術館葉山
会期:6/9~7/22
入場料:¥1000(みゅーぽん、[MuPon, Museum Coupons (2012 Edition) - Art Beat]を利用¥900)
見学日:7/16
図録:あり¥2300未購入
松本は昭和初期の画家。都市を描いた画家。
松本の存在は10年以上前に近美で開催されたモボ・モガ展で知ったように思う。
この時知ったのが絵画の松本、版画の藤牧義夫、写真の堀野正雄。この三人は俺にとって興味(モダニズムの視点と都市を描いたという点で)ある芸術家たちである。
ついでにいうとここ一年でその三人の企画展(堀野を見られなかったけれど)が連続してあった不思議。都市を見る視点がまた問われている時代なのかな?
以下、メモから抜粋。
- 目白文化村で暮らした芸術家だったことに驚き。池袋モンパルナス 大正デモクラシーの画家たち (集英社文庫) の中に登場していた記憶無し。再読の必要がある。
- モンタージュ・コラージュの手法を使った作品群。まるで堀野正雄の写真みたい。モンタージュ・コラージュは当時のモダニズム文化の中での新しい手法の一つだったのかな。
- 古典リアリズム絵画を描くかと思えば、抽象性の高い絵画を描く、ひとつのスタイルにこだわらず、自分の表現すべき物にベターな方法を探していたように見える。
- 立てる像。古典リアリズム(人物)と抽象絵画(背景・街)の融合。
何よりその政治的背景(芸術統制)とそれに逆らう意思。
軍部による美術への干渉に抗議して、雑誌『みづゑ』に「生きてゐる画家」という文章を書いたとのこと。この文章と「立てる像」の相関性。一人の芸術家として「立てる」こと。
これがなければ単なるパースペクティブのおかしい絵画ということになりかねないのに…深い。 - P074汽車という作品。藤牧義夫の版画を思い出すような絵!
- P080 街角(横浜)という作品。カナディアン・パシフィックという看板。横浜にそんな店・会社あったのかな?…要研究。
- 15歳の時に父親から写真道具贈られる。同じ年に兄から油絵の道具。カメラの表現方法が彼の絵画に与えた影響を考える。モンタージュ・コラージュは写真的表現方法だよね…
- 雑誌発行者の谷口雅春という名前に引っかかる「生長の家」の教祖(?)。調べたら松本竣介の兄が傾倒していたらしい。雑誌編集者の奥様と知り合ったのも「生長の家」の仕事を通じてらしい。
- 最大の目的たる「Y市の橋」のコンプリート!横浜駅東口にある月見橋とその後ろに広がる跨線橋や変電所?を描いた作品群。
今でもその跨線橋は残っていて(廃止・解体が決定済み)、ある種の共感を覚えるもの。
しかし、Y市の橋すべて作品をじっくりと眺めても、松本竣介がその風景にどういう芸術家的インスピレーションを覚えたのかは、全くもってわからず。
正直、何がどうという風景でも無いのに…松本の心の内が知りたいと思う。
近美葉山の環境とも相まって(バスは劇混みでしたがw)素晴らしい展示で堪能しました。
ただ…前期・後期の展示がある関係ですべてが見られたわけでは無いのが残念。巡回展示の世田谷美術館にもいってみるかな…
続いて逗子での遅めの昼食(つく志、ショウガ焼き定食ではなく、刺身系にすればよかった…)と鎌倉で一番の古書店books mobloをのぞいてから、近美鎌倉に移動。
展覧会名:コレクター気谷誠の眼 鯰絵とボードレール展
場所:神奈川県立近代美術館鎌倉本館
会期:6/23~9/10
入場料:¥700(みゅーぽん(みゅーぽん、[MuPon, Museum Coupons (2012 Edition) - Art Beat]を利用¥600)
見学日:7/16
図録:あり¥1000未購入
同行者の提案で見学したけれど、自分ではタイトルだけでは触手を伸ばさなかったろうな…という展示。
しかし行ってみると、感心したりいろいろ考えさせられたりさせられた。こういうのが人とのつながりで生まれるマリアージュなのだなと深く感心させられました。
以下、メモから編集した感想。
- 鯰絵とは安政の大地震のあとに刷られた鯰や地震をネタにした浮世絵のこと。
- もともとは地震よけの鹿島神宮の武甕槌大神が鯰を押さえ込む絵や地震よけの梵字が書かれた魔除け・鎮魂の意味だったものが、地震によって商売繁盛(大工とか、風が吹けば桶屋が…的なものw)みたいな底抜けに明るい物に変化していく不思議。
(そういう事情もあって幕府に禁止させられたらしい。時代の徒花かな。) - 今の感覚だと東スポや虚構新聞みたいなものと感じた。下世話なのに真実をついている、さらには不謹慎な感じがするところまで。
もしかすると笑うことで恐怖を払ったり、起こったことはしょうがない=それからどう生きるかが大切みたいな感覚だったのかも。 - これらのコレクターの気谷誠さんは東日本大震災を体験せずになくなられたとのこと。体験していたら、何をこれらから読み解いたのかな。気になる。
(そして、まさにこの時期に企画展を行った近美の学芸員の皆さんに敬意を払いたい)
濃密な二つの展示をみてぐったり…としながらも、脚は紅灯へイソイソと(笑)
本と酒の好きな者たちのサンクチュアリ、ヒグラシ文庫(綺麗でマジに格好いい方とお知り合いに!いい話を聞かせて貰いました)
最後はbar RAMで〆。俺はいつものごとくジントニック(好きなんです。脳が覚醒する感じがしてw)で。
最後かなり白熱したいい話をしていたはず(名言あったよね?)ですが、相当酔っていたらしく何も覚えていないという…(汗)
楽しい一日でした。