Days on the Rove

好事家風情の日常。読書と散歩と少々の酒。

12.9「馬込時代の川瀬巴水」展@大田区立郷土博物館

名称:馬込時代の川瀬巴水
場所:大田区立郷土博物館(大田区・西馬込)
会期:12/1〜12/24
入場料:無料(!)
見学日:12/9
図録:あり(¥300)購入

川瀬巴水は鏑木清方門下の大正・昭和期の浮世絵師、版画(絵師)家。
版画版元の渡邊庄三郎のもとで吉田博などとともに日本画的な要素を持った新版画で一世を風靡した人。
猫綱は以前より川瀬巴水の端正な画風が好きで(あと昔の東京の風景も好きというのもある)興味を持っていた方でした

その川瀬巴水の代表作100点の展示とのことで、半休を利用して行ってきました。

以下感想。

版元が渡邊庄三郎のものと他のものでは表現力に差がある。
版元(一種のプロデューサー)の意向がはっきりしている渡邊との差なのか、彫師・刷師の技量の問題なのかわからず。
(解説には版元(の意向)の差とでていたが、技量的に違うように猫綱は感じました)

以前、米山勇先生( @yonesky )にTwitter上でご教授頂いた、『浮世絵などの垂直方向への渇望(意訳)』を川瀬巴水の絵にも感じた。
それは新時代の浮世絵を指向したがゆえに、浮世絵のスタイルを意識的に取り入れたものなのだろうか?気になるところ。

「野火止平林寺(これも名作)」の一色ごと(正確には違うらしいけれど)に分解したものを販売したことがあるらしい。
これが見ると面白い。多色刷り(印刷!)なので当然のことなのだけれど、過程が見えることの面白さがあった。ただ、これ売れたのかな?気になる。

エディションの違い。原画に近い刷りから、表現を変えて何度も刷り上げているのだが、それぞれにそれぞれの意図が感じられて面白かった。
(中には戦時中で色味が少ないものを戦後に多色化したものや、色を変えることで同じ版木から昼と夜を作り分けている(!)ものなども)

気に入った作品は「馬込の月」「大森海岸(東京十二景)」「清洲橋の夕」「井ノ頭の春の夜」「野火止平林寺」など。

眼福の一日でした。

他に館内に「六郷用水」「馬込文士村」の展示も。なかでも六郷用水は力の入った展示で見応えがありました。
(あと麦わら細工(帽子)も当地の産だそうで、ちょっと面白かったです)

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