Days on the Rove

好事家風情の日常。読書と散歩と少々の酒。

3/30生誕120年川瀬巴水展ー郷愁の日本風景(@横浜高島屋)

名称:生誕120年川瀬巴水展ー郷愁の日本風景
場所:横浜高島屋
会期:03/19〜03/31
入場料:¥800(招待券で入場)
見学日:03/30
図録:あり(¥2000)。千葉市美術館のもの。現地にて購入。

以前、千葉市美術館で開催されていたものの巡回展。(7月には川越市美術館でも開催予定。なるべくそちらも見るようにしたい)

時代別に作品を展示してあるので、大田区立郷土博物館の巴水展よりも見比べやすい利点がある。
すべての年代のものを鑑賞すると、川瀬巴水が川瀬巴水になったのがいつ頃なのかみえてくる。
初期の作品は(いわゆる)巴水らしさを感じない。普通の風景木版画。
旅みやげ第一集、東京十二ヶ月から日本風景選集あたりまで。

震災を体験して、すべてのスケッチをうしなってしまう。気力を失っていた巴水を旅に勧めたのが、巴水の版元・渡邊庄三郎。
102日間の写生旅行をへて、巴水が川瀬巴水として、巴水らしい絵になっていく。
旅みやげ第三集から、代表作東京二十景あたり。

芝増上寺、新大橋、池上市の倉、明石町雨後、馬込の月を見る。眼福。

個人的には「郷愁の日本風景」という、企画展の言葉には違和感を覚える。
すくなくとも郷愁ではないよね。そこにあるのはノスタルジアではない。

戦争と巴水。芸術家には避けて通れぬ時代。
日本兵の姿を描いた作品が二枚。戦争協力者(というレッテルはきらいだが)としてではなく、巴水の絵の源である写生を続けるための通行証だったのだろう。

戦後の電通の海外向け雑誌(Japan Trade Monthly)に描いたものが興味深い。
巴水の画趣に沿っているものには見えないが、これはこれで海外受けする画題(いかにもニッポンらしいイメージ)と自分の感性の合わせ具合がほのかに見えて面白い。

戦後のものは巴水らしさは感じられるが、それ以上に作者の芸術性を感じられる。
それまでの平明・清明さともちがう技巧が画にあるように感じられる。

最近、巴水のブームぶりが目立つけれど、巴水はやはりひっそりと眺めるのがいい。
ひとつひとつの木版画が、それぞれの世界に誘う現実世界に開いた窓なのだから。

相州江ノ島や大仏、相州前川の雨(前川ってどこ?)も見られて眼福。
かならず川越市美術館の巡回展にも訪れなくては。

同時展示の川瀬巴水の弟子、石渡江逸(いしわたこういつ)の横浜の風景木版画がいい。万国橋や本覚寺、野毛遠望など。新しい事物を取り入れた横浜浮世絵と大正新版画(新版画が新しいものを写さなかったわけではないが)の組み合わせみたいなもの。ちょっとキニナル。

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