Days on the Rove

好事家風情の日常。読書と散歩と少々の酒。

3/30星を賣る店 クラフト・エヴィング商會のおかしな展覧会

名称:星を賣る店 クラフト・エヴィング商會のおかしな展覧会
場所:世田谷文学館
会期:01/25〜03/30
入場料:¥700
見学日:03/30 またしても最終日!
図録:あり。星を賣る店 (平凡社)¥2310。現地にて購入。

またしても最終日、しかも雨男の本領発揮。
若干、日和ってしまいそうになったが、行かなければ後悔すると思い、意を決して出撃。

これに。幸せな時間。どこにもないものの考現学。文学とデザインのマリアージュ、想像力を添えて。

SNS情報で、開館前に並んだ方がよいと聞いていたので、休みの日なのに朝6時起床で行動開始。現地には開館15分前に着いたが、すでに行列ができている。大雨だというのに、酔狂な。(自分もです)

クラフト・エヴィング商會は「どこかにいってしまったものたち」以来のファン。あの本の衝撃は今でも忘れられない。

まず、会場に入ってすぐの過去の作品(商会の品物)の展示にやられる。
棚卸しというコンセプトで、白い箱(靴箱?ぐらい)に作品が展示されている。
チケットの星屑から始まり、電球、青巻紙、ビスケットの袋、天使の矢、電気ホテルのパンフ(これは作品ではなく当時のものらしい?)、睡魔の枕、そして冬眠図書館のシチュー券などなど…。
シチュー券は大好きな作品。実物が見られてよかった。(その説明文にもクスリと笑わされた)
展示されている作品のひとつひとつを見ると、その作品が出ている書籍をそれぞれ思い出すというなんとも不思議な感覚。
手品師が何もない空間からハトを取り出すように、書籍の中でとりだされたありもしないモノたちが、文学館の中で実際に目の前にあるという不思議(さっきから不思議しか形容していないw)
今回始めてみたモノの中で小さなカメラがあった。実際に使える(過去に販売されていた)モノらしいけれど、ちょっと欲しくなった。何というカメラなんだろう?

次のコーナーの入口には病院の案内看板。不審に思いながら入ると、突然どこかの街角が現れる。
ショーケースが照らされた小さな古本屋。(古書・一角獣だったかな?)そこに置かれた書籍たち。(それは作品ではなく、実際の本)
次のスペースにはクラフト・エヴィング商會の工作室。大きな看板。入口脇には従業員募集の張り紙(五歳以上の男子求む、だったかな?w)
中には電気ホテルの見取り図と、アイデアを膨らませるために書き出したブロックメモを壁一面に。そのブロックメモを読んでいるだけで結構楽しい。
ふと、朔太郎の猫町を思い出す。懐かしくて、でもどこにも存在しない町。クラフト・エヴィング商會の作品の中に潜り込んでしまったような気分に。
(つむじ風食堂のある町なんでしょうね、あれは)

とある作品で使われたビートルズのホワイト・アルバムのコレクション。
吉田音名義の作品に出てくる、猫が拾い集めてきたおかしなガジェット。まるで昆虫標本のような展示方法。

自分達の書籍と装丁を担当した書籍の展示で終了。
(気がついていなかったけれど、おお!これもか!という気分になった。結構装丁しているのですね)

最後のコーナーに書かれていた文章に「ドア」をつくる仕事みたいなことが書かれていた。
それを読んで自分が感じたのは、クラフト・エヴィング商會の作品が僕らに与えるのは、常識から自由に空想に飛び立てる「どこでもドア」ではなくて、常識の中に潜むドアを見つけるような行為だということ。つまり「どこでもドア」

どこにもないものの考現学。作品が組み合わさって放つ物語性。
クラフトと文学のマリアージュ、想像力のスパイスを添えて。

幸せな時間でした。

今回の戦利品。
写真に見えるライスクッキーも実は作品。¥350ナリ。
美味しくいただきました。(でも、食べるのもったいなかったなぁw)

#今日の戦利品 その1。ライスクッキーは作品なので、食べるのがもったいないなぁ。

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