Days on the Rove

好事家風情の日常。読書と散歩と少々の酒。

辻まこと「多摩川探検隊」

明日、参加を楽しみにしていたとあるイベント、仕事の都合で参加を断念。非常に悔しい。
(低山ハイク、山頂で山の本を紹介しあう。コーヒーのポットサービスに美味しいお弁当…)
その席で紹介するつもりだった本を、イベントに参加したつもりで紹介してみる。

(レジュメというかメモ書きから起こしたので、乱筆乱文・文体齟齬はご容赦を)

辻まこと「多摩川探検隊」小学館ライブラリー

画家、詩人、エッセイスト、登山家にして伝説の雑誌アルプの常連・辻まことの本。
紀行・随筆集、そのなかの表題にもなった「多摩川探検隊」がとても素晴らしい作品。

学校で配られた地図帳によって、地理学・地図の信徒となった筆者。
蘊蓄を同級生たちに話しても、結局上っ面の知識でしかないことが露呈する。

友人の一言「多摩川の源はどうなっている?」に答えられなかった筆者は、自らと地理学(地図)の権威を守るため、多摩川の源流がどうなっているのかを実証をしなくてはならない羽目になった。

こうして多摩川探検隊は辻まことを筆頭に5人で結成された。
…が、探検当日、集合場所に現れたのは辻まことともう一人だけ。

二人で源流を目指し、艱難辛苦・支離滅裂・腹凹足棒の冒険が始まるが…、
結果(当然とは言え)源流は見つけられず、3日かかった道を電車で2時間で帰宅することに。

こっぴどく親に怒られ、第二次探検隊は結成されずに終わるが、辻まことはその先に広がる山々に魅せられて…

といった掌篇。これがとても好きなのです。

子供の頃の冒険心と地図の面白さ。そして山々への憧憬などが、辻まことの美しい文章で描かれると、それだけでいい気分にさせてくれます。

ああ、イベントではみなさんどんな本を紹介するのだろう…嗚呼…

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