名称:大おにぎり展出土資料からみた穀物の歴史
場所:横浜市歴史博物館
会期:10.11〜11.24
入場料:¥300(チラシをおにぎり型に折ったので、団体料金¥240で入場)
見学日:11.24(またしても最終日w)
図録:あり。購入済。¥1000
最近いろいろな意味で飛ばし気味の横浜市歴史博物館の企画展。
市内で出土したおにぎりらしき物体から、食物考古学・民俗学といった領域まで広がった展示で興味深い内容だった。
普段の歴博よりも客数が多い(老若男女!子どもの姿も)ように見受けられ、歴博が頑張っている成果が出ているのだと思う。今後もぜひ飛ばして欲しい。
以下メモ。
有機物が残るための二つの方法(炭化と無酸素化←湿地帯)。
狩猟採集時代の栽培(稲作文化渡来前でも、栽培して収穫を得ていた)という事実。
どうしても稲作以前は狩猟採集のイメージが強いが、栽培で収穫を得る事もあった。(そうしても採集のイメージに引きずられる…)
木の実の種類の時期差と地域差。
時期差:どんぐり・クルミ→栗→トチノミ
地域差:東日本→栗、西日本→どんぐり類
植生の違いかな?時期の差は調理方法の進化(あく抜き?)かな?
収穫量増加のための品種改良。
出土する栗の大きさが、後になればなるほど大型化している。
大きい実をつける物を選択して残していくような一種の品種改良がおこなわれたらしい。(おお!)
同じ事は豆やアズキでも確認できる。
出土したおにぎりの実物。炭化しているのでよくわからない。
何個かのおにぎりがまとまっている。
三方スケッチやCTスキャンによる断面図。(調べるって大変なんだなw)
土器に残された穀物痕を調べる方法は、警察の足跡採集(げそ痕というのかな?)と同じ手法。
戦国時代のおにぎり(場所から推定される戦いもw)
調理技術の変化と土器の形・品種の変化。土器の調理痕から推理する調理方法。
大きく分ければ、炊く、煮る、蒸す、茹でるの四種。変形を含めれば方法は多岐にわたる。
餅米とうるち米の違い(粘性の大小)と調理法の違い。(これは、アジア米と日本米の違いみたいな部分にもつながる)
土器の形と調理痕(煤の痕)から調理法を推定できる。
各時代毎に展示がされていて、これは興味深かった。
陸稲(!)実物を初めて見た。中学の授業で存在は知っていたけれど、実物はなかなか。
今でも栽培事例ってあるのかな?
歴史資料に残るおにぎりの事例。
万葉集。源氏物語。江戸名所図会、昔話、国語読本など…
梅干しと海苔と鰹節の歴史。そもそもおにぎりに具が入るのは近世以降?もとはごくシンプルな物だったようだ。(今のコンビニなんて幾つ種類があるのだろう…w)
寿司の歴史。
発酵させるなれずしから、簡略化されたにぎり寿司までの歴史。
おにぎり=おむすび論争と形の地域差問題。
どちらも有意差が見られるのは、コンビニおにぎり発生以降。三角形でおにぎりが現在の全国的スタンダード。
駅弁としてのおにぎり。最後には崎陽軒のシウマイ弁当!(おにぎりではないけれど、たわら型に一応なっているものね)
自分の興味ある方面ではないけれど、十二分に楽しめた展示でした。