Days on the Rove

好事家風情の日常。読書と散歩と少々の酒。

161030荻窪暗渠展

荻窪暗渠展を見学前に、後学のため西荻窪・荻窪の古書店をいくつか訪問。
老舗風古書店(二間間口の!)、新古本店、セレクトショップ風の古書店、サブカルに強そうな店などなど、様々なタイプの店が同じまちなかに共存しているのが何とも羨ましい。
川崎長太郎の抹香町の初刊行本と(現在の)文庫本がさらりと棚に置いてあったり、アラーキーと杉浦日向子の写真・対談集「東京観音」の初版(帯付き)が、とんでもなくお安いお値段で棚に置いてあったりして、驚愕しきり。あれは、目の毒じゃね…
街の個性と古書店の棚に何か因果関係があるのかどうか、これからもいろいろな街の古書店めぐりを続けたいと再確認。古本修羅道だねぃ…。

メインイベントは、杉並区郷土博物館分館(杉並区荻窪駅近く)で開かれていた、「荻窪暗渠展」の見学。
博物館の展示ながら企画展ではなく、市民主宰の展示という面白さ。こういうスタイルは他では見かけませんね。他でもやってみるといいのに。
暗渠のあり方を追求する分析型と暗渠の歴史やその周辺の物語を追求する深掘り型が両輪としてうまく回転している感じでした。
自分のスタイルと同じである深掘り型に共感しつつも、分析型のスタイルを知った故か、未知な荻窪〜阿佐ヶ谷のフィールドワークなのに暗渠を見つけるセンサー(足での地形のスキャニング、目による(暗渠)ランドマークの発見・再確認などを通じて)が働いたような気がします。はじめての街で、暗渠をあんなに発見できるとはね。ちょっと面白い感覚でした。
横浜や鎌倉が主の地形感覚の自分から見ればフラットすぎる武蔵野台地なのですが、細かく見ていくと小さな高低差が見えてきて、これまた面白い。横浜や鎌倉の暗渠よりも、武蔵野台地の暗渠の面白さは一歩抜きんでているのかもしれないと感じました。

杉並区郷土博物館分館の二階では、企画展「天沼弁天池があった頃 三人が残した足跡」が開催。
天沼弁天池は郷土博物館分館がある、まさにその場所(そして暗渠になった川の水源でもあるという)。

脚気治療の薬を作った軍医、日本画家、天沼弁天池のほとりに住んだ資産家?(息子が同じ場所で中華懐石の料亭。その後、西武鉄道に買収)の三人。その足跡の紹介と共に、古い地図が多数。眼福でした。

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