Days on the Rove

好事家風情の日常。読書と散歩と少々の酒。

感想棚卸2017春

名称:焼け跡に手を差しのべて 戦後復興と救済の奇跡
場所:横浜都市発展記念館
会期:10/22〜01/15
入場料:¥300
見学日:1/5
図録:なし

引揚者や戦災者、戦争孤児の救済の記録。
公立団体の他に米軍や民間人、宗教団体の活動。
総合社会事業 金沢郷、平野恒、日本厚生団、ボーイズホーム、光風園、聖母愛児園などの活動。
ララ物資やCARE(子ども向けの食料品セット。本のセットも送っている!)

他に防火帯建築と日本貿易博覧会について(こちらが見たかったメイン)
小さな展示でこちらは目新しさはなかったな。

戦後の混乱期でも人を助けようとする動きはあったということが興味深い。

名称:鎌倉再発見
場所:神奈川県立公文書館
会期:1/28〜3/31
入場料:なし
見学日:1/31
図録:解説パンフレットあり

県立図書館との共同展示。閲覧室内での展示。「御成敗式目」。「吾妻鏡」。冷泉家(阿仏尼)の公事についての解説。明月記、その他の同時代の日記について。(明月記と吾妻鏡の対比とか、吾妻鏡のもとになった日記についてなど)

皇国地誌編纂事業について。鎌倉郡村誌(関東大震災で焼け残った皇国地誌)。「鎌倉日誌」、「新編鎌倉志」。鎌倉山関連資料。当時の住宅地図と旅行案内地図は必見。温泉旅館の名前をいくつか見つけた。鎌倉の温泉ネタでご飯がすすみそうである。

他、文学館と神奈川県立近代美術館鎌倉について。鎌倉関連の図書も実際に用意。そんな感じ。とにかく解説資料が立派。これを読み解くだけでも勉強になりそう。

名称:蚕とかながわの人々
場所:神奈川県立公文書館
会期:9/24〜1/31
入場料:なし
見学日:1/31
図録:パンフレットのみ

神奈川の二大産地。愛甲郡半原の「半原絹」、津久井県(!)川和の「川和縞」。津久井県は自治体としての県ではないはず。詳しいことは知らず。半原は県内の撚糸工場の9割が集積。戦後はナイロンなどの紡績も。

半原には糸繭市場もあったとのこと。2016年に撚糸の碑が建立。(半原ってそういう場所だったのね。)

生糸売買鑑札。足柄県の鑑札(!)本当に足柄県ってあったんだ!

生糸の商標(ラベル)。会社名が面白かったのにメモを失念。しばらく眺めていたが、モチーフがわからず。

キーケン(生糸検査所)の図面。今の総合庁舎は非常に部分的なのね…。明治期の建物の写真も。

阿久和の長屋門公園。養蚕用に利用されていた。清涼育構造。この方式で茅葺きではない、瓦葺きでも養蚕が可能に。(屋根の上に換気用の屋根がついているとでもいえばよいのか、湘南地域の蜜柑の貯蔵庫の構造に似ている)

瀬谷駅近くのサバ神社そばに、養蚕関係の石祠あり。蚕と桑の葉の紋様が掘り込まれているとのこと。(見に行かなくては)

三ツ境の白姫神社。もとは阿久和に。阿久和の養蚕組合による創建。養蚕衰退後の昭和32年に三ツ境に移転。(こういう養蚕関連信仰や遺構を追いかけないとね〜)

馬蹄の拓本。ロシアコサック兵の物。日露戦争後か。繭の生産量拡大を祈る護符?ロシアの馬が日本の馬よりも大きいという意味もありそう。中国の馬蚕との関連も指摘してあった。(これは面白い)

シルクセンター開設が昭和33年。内山岩太郎知事発案。シルク輸出が0になるのが(記憶曖昧。横浜港からの輸出かも)、昭和48年。県内から養蚕農家がいなくなるのが、2010年。これは記憶あり。補助金打ち切りが理由。

公文書館の展示は素晴らしいのだが、宣伝が足りないのと立地の問題もあって閑散としているのが残念。今後の企画展示もなるべく情報をフォローして見にいこうと思います。(図書館の展示も同じ傾向ありですな)

常設展示の公文書館の仕事紹介(とくに保存と修復)も素晴らしい展示でした。

解説資料の丁寧さは特筆すべき。解説資料に釈文集もあるし、もう一つの展示『鎌倉再発見』はA4・36ページ。お金取らなくていいの?レベル。

神奈川県立公文書館の企画展示ふたつを見学。蚕も鎌倉も興味深い展示でした。 常設展示の公文書館の仕事紹介(とくに保存と修復)も素晴らしい展示です。こういう場所も行ってみるものだな。

名称:横浜開港資料館開館35周年記念 時を超えて・ハマの史跡の物語
場所:横浜開港資料館
会期:2/1〜4/10
入場料:¥200
見学日:2/5
図録:なし

横浜市が初めて地域に残された史跡を選定して関東大震災で失われた郷土の歴史的遺跡の意義を明らかにし、歴史を継続しようとする思いが込められました。選定は、郷土史家が中心となって行いましたが、本展示では、史跡選定の歴史を主に当館が所蔵する郷土史家関係資料で振り返ります。

横浜の歴史を回顧するムーブメントは開港50周年の頃から。開港50年史の刊行など。以降名所ではなく史跡という視点が生まれる。

尚趣会というコレクターの集団の一部による歴史資料の収集。尚趣会は斉藤昌三も関係していた模様。(雑誌いもづるが展示してあった)市史の編集は大正期から。しかし、関東大震災で収集した資料やかり出した資料を失ってしまう。(借りた相手への詫び状が展示)。市史編纂を断念する動きもあったようだ。横浜市史刊行後、史跡の選定が始まる。これは大正8年の史跡名勝天然記念物法が制定後のこと。大正の観光ブームはこのあたりからなのかもな。

史跡標もいくつかつくられたようだが、鎌倉同人会のそれと時期を比べてみる必要があるかな。横浜貿易新報による名勝史跡の新聞投票。これは以前に知った。45個選定されているが、現状を見てみたいね。ついでに選外になった物も調べてみたい。(古い新聞を図書館に行ってみればいいのだろうな)小さな展示(施設)なので、満足感は低いかもしれない。しかし、好事家たちと公的な立場の人がうまく関わって、横浜の歴史(を振り返る作業)は形作られてきた事がよくわかる展示だった。好事家・アマチュア歴史家のあれこれも面白かった。

名称:加藤文俊研究室フィールドワーク展XIII たんぽぽ
場所:
会期:
入場料:無料
見学日:2/5
図録:なし

IKEAカタログならぬ「イケズ」カタログ。非常に面白く読みましたよ。

IKEZカタログのクラウドファンディングの支援をさせて頂いたのも見学の理由。

様々なフィールドワークが展示されていましたが、蒐集・フィールドワークは、「量が質を凌駕する」ということに尽きると感じさせられました。個人的には今和次郎&吉田謙吉の『考現学採集」「モデルノロジオ」につながるスタイルだとも。

表現の手法は洗練されていて、SFC(だけでなく今の大学生はそうなのかしら?)って、素晴らしい場所なのだと思いましたよ。(そして若いっていいなぁ、眩しいなぁ、と疲れ果てたおじさんはおもうのです)

フィールドワークの弊害として蒐集・分類しただけで何かを成し遂げた気分になってしまうというのがあると思うのだが、そこに陥らないようにしないと、問題解決の手法としてのフィールドワークにならないと思うけどね。そこをどう考えているのかな。もちろん、フィールドワークの成果としての蒐集・分類もあってしかるべき。考現学採集やモデルノロジオはそういったものだよね?

可能な限り来年も見にいこうとおもう。

名称:石展2 ―かながわの大地が生み出した石材―
場所:生命の星・地球博物館
会期:12.17〜2.26
入場料:無料(常設展は¥250)
見学日:2/19
図録:なし

昨年、県立歴史博物館で開催された石展の続編。どちらも歴史博物館と地球博物館の共催。

展示場所の大きさもあってコンパクトな展示。県内産出の石材とその石造物について。どちらかというと歴史博物館よりの展示な感じ。

一部には実際に触れられる石材(そのままの物とグラインダーをかけた物と二種類)もあり、石材とその説明、石造物(実物or写真)で構成されている。
実際に触れられるのはいいよ。その石材の硬さや火山ガスの抜けた跡もわかる。ボソボソにみえる石もグラインダーをかければ結構ツルツルになるのも。

緑泥片岩、戸川砥の実物を見られたのはちょっとうれしい。セラドン石を含む凝灰岩というのがあったが、翡翠の代用品として使われたとのこと。これに似た石を山形県飛島で拾ったなぁ。実家に残っているはず。今度探してみるか。

鎌倉石の切り出し映像があったが、案外原始的な切り出し方だった。最初から、鎌倉でよく見かける石のサイズに切り出しているんだな。

常設展は地球サイズの展示で、神奈川の自然史という部分はあまり感じさせない展示だった(特に自然地理系で)。生物系はそれなりに頑張っているようにもみえるが…。
ヨコハマナガゴミムシやカントウカンアオイ・タマノカンアオイの標本を見られたのは収穫。これって横浜検定で勉強したけれど、どのような物かは全く知らなかったわけで…あ、クゲヌマランもかな。

企画展示よりも常設展が主体なのだなと感じた。リピートしていく雰囲気は少ないかな。意外と見学者が多いのにはビックリ。観光地の一部にはなっている感じでした。あまり興味がなさそうにみえるリア充(けっ)や、外国人観光客の姿も結構多かった。(子ども連れが多いのは恐竜の骨のおかげでしょうね)

名称:3月横濱路上観察会 例会【戸塚駅周辺】
場所:
会期:
入場料:
見学日:3/11
図録:

戸塚駅周辺のフィールドワーク。こういうのは様々な視点があった方が愉しい。
終了後、友人たちと天王森泉館 (数少ない神奈川の蚕糸関連遺構)を見学。クボジュンさんの個展→鎌倉・大船で呑み。たのしい一日だった〜

名称:ARAI EIICHI LIVE in KAMAKURA V
場所:鎌倉女子大学二階堂学舎
会期:3/18
入場料:3800
見学日:3/18
図録:なし

(アルコール補給以外の面でも)お世話になっているヒグラシ文庫主宰の新井英一のライブ。'14、'15は見にいったので、2年ぶりのライブ。
今回はアジアの歌中心(その場でメモらないので、歌曲名失念。台湾の歌(雨夜花かな?)とフィリピンの歌が秀逸)。口直しのアマポーラとアンコールの浜辺の歌もよかった!

そのあとは長谷のVuoriで開催された「山の本と写真展〜オープニングイベント」へ。野川かさねとKIKIさんのトークショー。山の写真と古書。そして山にまつわる話を聴いて楽しみましたよ。
(つーか、ブックカーニバル関係者もスタッフだったのも参加する故に)

 

 

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