Days on the Rove

好事家風情の日常。読書と散歩と少々の酒。

170521 平塚美術館

名称:リアルのゆくえ-高橋由一、岸田劉生、そして現代につなぐもの
場所:平塚市美術館
会期:17.04.15〜17.06.11
入場料:¥800(招待券で無料入場)
見学日:05.21
図録:なし?

 江戸時代から徐々に招来された西洋画は、その科学的な写実技法が伝統的な日本の絵画と大きく異なり、当時の人々に衝撃を与えました。高橋由一は西洋の石版画と邂逅し、その迫真の描写に感動して洋画家を志しました。彼にとって写実とは、自然や身近なものなど外界に対する清新な感動を伝える手立てとして機能しました。さらに大正期、岸田劉生は北方ルネサンスの巨匠たちの「クラシックの美」をめざし卓抜した描写力で写実を極めました。それは現実を超え出る写実であり「内なる美」の表出として高く評価されています。劉生および彼の率いる草土社は同時代の青年画家たちに大きな影響をもたらしました。ここにおいて写実は外界の描写のみならず内面を表出する手段として機能しました。由一と劉生の事物に対するアプローチは異なりますが、両者とも偽りのない心情を示すため細部まで写実的に再現する必要があったことに変わりはありません。

 その後、写実絵画は時代の変遷とともに、様々な役割を担いました。また、写実という概念そのものも時代の思潮により変化をきたしました。それは西洋由来の写実をいかに消化し己のものにするかという意識の表れかもしれません。

 今また細密描写による写実が注目されています。本展は、移入され150 年を経た写実がどのように変化しまた変化しなかったのか、日本独自の写実とは何かを作品により検証し、明治から現代までの絵画における写実のゆくえを追うものです。   

リアリズムってなんだろう?見ればみるほどわからなくなってくる。感想が「写真みたい!」では意味がないものなぁ。 少しでも感情が載っている作品の方が、理解できる気がした。

そういう意味では長谷川潾二郎の猫はリアルさよりも心情的な空間のひろがりを感じさせられたように思うのだが。(猫だからという理由ではあるまい)
猫のヒゲをつい確認してしまった。これはいい絵だなぁ。もう一度、洲之内徹の気まぐれ美術館を読みたくなったよ。

ほか高野野十郎、岸田劉生、中村不折、五姓田義松、犬塚勉など。

名称:斎藤文夫コレクション 浮世絵・神奈川名所めぐり
場所:平塚市美術館
会期:17.04.15〜17.06.11
入場料:¥400(上記招待券で無料入場)
見学日:05.21
図録:あったらしい?

 太平の世を謳歌していた江戸時代後半、多くの人が旅に出るようになりました。その背景として、江戸・日本橋を起点とした各街道が徐々に整備されて道中の安全性が高まったこと、経済の発展により人々の生活に余裕が生まれたこと、また、十返舎一九作『東海道中膝栗毛』の大ヒットにより旅への関心が強まったことなどが挙げられます。旅に出ることが叶った人々は、伊勢神宮などへの参詣を名目に、東海道を上りながらの物見遊山を楽しみました。

 現在の神奈川県域は、江戸時代には武州(武蔵国)・相州(相模国)と呼ばれ、江戸の庶民が信仰した寺社や古くからの景勝地が点在していました。江の島や大山は信仰の場所として多くの参詣者を集め、金沢は風光明媚な場所として、箱根は湯治場として人気がありました。また、武州・相州には、京と江戸を結ぶ主要な幹線道路である東海道が通り、平塚をはじめとする宿場町が賑わいをみせていました。各地のそのような賑わいが、多くの浮世絵師によって描き出されています。

 本展は、川崎・砂子(いさご)の里資料館館長・斎藤文夫氏が長年にわたって精力的に収集した浮世絵の中から、神奈川県内の名所・東海道の宿場を題材とした優品200 点をご紹介することで、郷土の魅力を再確認しようとするものです。ここでご覧いただく名所の多くは、現在も変わらず私たちにとって馴染み深い観光地です。その今昔をお楽しみください。

砂子の里資料館、館での公開はやめたのよねぇ…。
とはいえ、こういう貸出を行うのはありがたい。神奈川だけの特権か。

浮世絵自体はそれほど感銘を受けない(おい)のだが、描かれているものには興味を持って眺めていた。たとえば大山。大山自体を描くとか阿夫利神社を描くのではなく、大山のアイコンとして良弁の滝が必ず描かれている。あの滝がキャッチという訳か。
金沢八景もアイコンとしての金沢なわけで、実際に金沢に行ってがっかりした旅人も多かったのではないか。
そういう目をもっと働かせれば、いろいろ発見も多いかな。今後の課題。

ほかに小林清親、川瀬巴水、石渡江逸が見られたのはめっけもの。笠松紫浪が気になった。
さすが、斉藤文夫センセコレクションという感じかな。神奈川は押さえてあるね。

このあと道を挟んで反対にある平塚市博物館も見学。

人文・自然とも雑多感(ごった煮)はあるものの、コンパクトながら押さえるところは押さえてある印象。地方の公共博物館はかくあるべし。(野外講座系も強いと聞いた記憶が、違ったかな?)

鎌倉に出て、中央図書館で貸出カードを作成(横浜市民でも作成可能になったのだ。感謝。)。ヒグラシ文庫にて、まかないを3杯。酔うて候(まだ日も高いというのにw)

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