名称:藤沢・相模の地図と歴史
場所:藤沢市藤澤浮世絵館
会期:7.22〜09.24
入場料:無料
見学日:2017/08/13
図録:なし
初めて行った藤沢浮世絵館。ちいさな展示スペースだがいい展示をしているみたい。浮世絵好きは行ってみるといいよ。
まずは常設っぽくなっている東海道・藤沢宿・江ノ島の展示。(どうやら企画展示が変わる際にこちらも別の展示になるらしい)
東海道は「行列東海道」という徳川家の上京(京都に向かうのをなんといえばいいのですかね?)を描いた複数画家による連作(文久3年)。直接徳川の紋を入れるわけにはいかないので、頼朝に仮託し桔梗紋が描かれている。
大磯に虎姫が描かれていたりして、お約束系多し。まあイメージって大切だものなぁ。
藤沢宿は小栗判官。
ちゃんと鬼鹿毛も描かれた作品もあったりして面白い。からくり(覗き絵紙芝居のようなもの?)の文句を集めた一枚版が面白かった。文句をずっと読んでしまった。
吉田初三郎の遊行寺鳥瞰図も展示されていて眼福ですがな。
江ノ島は海岸風景の変化。
浮世絵と彩色石版画、彩色写真(横浜写真とも?)での表現の違いを見るという構成。
表現は違っても絵の構成(見る位置と角度?)は変わらないのが面白い。
絵葉書の展示もあって、江ノ島の対岸、龍口寺の脇に昭和三年から6年間の間、遊園地があったらしい。そこが発行した絵葉書が展示されていた。遊園地には高さ六階の展望台もあったようだが、その展望台の写真がなかったのが残念でした。どんな風景だったのかな。(場所も知りたいですな)
ようやく企画展示。
江戸から明治/大正までのあらゆる地図が展示。
いろいろあったが、吉田初三郎の震災鳥瞰図の脇に広島の原爆鳥瞰図を貼っているあたりに、意志を感じた。
ミニコーナー的に藤沢ゴルフ場と辻堂の空襲のパネルも貼ってあったのも特筆すべきかな。
本当にちいさな美術館だし、無料なのも心配だけど、これからもいい企画展示を期待したい美術館かな。(斉藤コレクションの展示先としてもね)
横浜に移動して図書館の展示を鑑賞。
まずは県立図書館の「ヨコハマ浮世絵散歩 図書館で楽しむ横浜絵」
実物と複写パネルによる展示。
まあ本当にちいさなコーナーなので期待はしていなかったが、見ることができることと知見を得られるのはありがたい。横浜絵そのものは6年ぐらいしか流行らなかったなんて行かなければ知らなかっただろうな。
もうひとつの「江戸期神奈川の紀行文ー「江戸を読む」出版記念ー」
これもちいさな展示。大きく取り上げられていたのが、十返舎一九の「金草鞋 箱根山七温泉江ノ島鎌倉廻」という作品。地図で実際のルートを明示してあったほど。
こういうのはわからなくても見ておくべきかな。いつか引き出しから取り出せれば愉しいと思うので。
横浜市中央図書館館内にある横浜市史資料室の展示「昭和横浜の構想図・完成予想図 過去に描いたヨコハマの未来」
これは面白い展示だった。
今とは違う横浜の姿がいろいろ展示されていた。
震災復興よりも戦後の復興の方が面白い。
横浜市庁舎の案の模型写真。今の市庁舎以外は凡庸…とおもいつつも、鎌倉市や逗子、平塚と同じような建築案(低いバルコニーで各回が囲まれているようなもの)があるのに驚いた。これって当時の標準設計みたいのがあったのかね?
鶴見某所のオートレース場計画やそごう側にモノレールを走らせる計画(まじか)、杉田総合駅の計画図、綱島駅再開発でアンダーパスを作る計画など、本気なのか大風呂敷なのか笑ってしまうほどの計画のあれこれ。
1970年の野毛再開発ショッピングモールのパースなんて爆笑するレベルでした。あんな野毛、野毛とは呼びたくない…
ベイブリッジの完成予想図、今のような吊り橋ではない姿。あれだと、港の風景も違って見えただろうね。そして橋をくぐれる船の制限もあって大変だったろうなぁ、と。
…沢山ありすぎてめまいがするほど。見にいくなら気力体力時間をたっぷり使ってみるべし。しかし作られなかった横浜の姿、荒唐無稽なものと、完成していたら便利だっただろうものと…嗚呼。
当日は大船ヒグラシ文庫でスーマーさんのライブがあったのだが、体調も考えて回避。それが一番の残念。夏休み中、外で一度も呑まなかったなぁ…とほほ。