年末恒例。一年を振り返る記事。
まずは、読了本から。
2019年に読んだ本は91冊。
昨年は85冊(ただし、読書管理サイトの移行につきヌケモレが発生しているので、実際にはもっと多いはず)。
今年はあまり読めていない感が強い年だったのだが、それなりにいいペースではないかと。
順不同でベスト本を紹介する。
読んだ当時で、このコメント。間違いはない。
フィルムは消失し、主演俳優は失踪。原作の行方もわからない、成瀬巳喜男幻の映画「チョコレート・ガール」を追う著者の探偵物語。読書探偵物であり、歴史探偵物でもある。それらに憧れる自分には、ぴったりの一冊だった。
最初はノンフィクションには思えず、著者による創作なのだと思ったぐらいのリアリティのなさw。でも、追いかけていくうちに、こちらまでいろいろ気になってくるという…。
俺も探偵としていろいろ修行しなくてはね。
個人的には、「ジャンパーを着て四十年」が最高。
民俗学。考現学=路上観察。自分が好きなジャンルの大先達の随筆集。
観察をし続ける意味をもう一度考えなくてはね。今、この時、日本の街が変容している時代(何度目?維新、震災、戦争、オリンピック、バブルとバブル崩壊。そして、震災とオリンピック…)だからこそ。
山の文芸誌という希有なジャンル雑誌の評伝。もし、自分が本をつくることがあるとしたら、ああいうスタイルを目指したい。
描き込まれた背景と、キャラの落差。そして、ストーリー。散歩趣味の人にはたまらない感じではないかな。
おそらく、俺にとって何度でも読み返すような座右の一冊になるのではないか。人に勧めるなら、この一冊を推したい。
様々なエピソードとともに、自分が巡り会った中原さんの思い出を思いだす。
ヒグラシの店主と客として。とあるイベントの協力者として。厚かましくも知人を紹介したり、自分のZINEを押しつけたり。
自分の人見知りもあって、大して会話しなかったことが、本当に悔やまれる。もっと、お話しをしてみたかった方でした。著作にサインもお願いできなかったなぁ。
友人が編集しているとか、知人(呑み仲間?)が、筆を振るったとか関係なく、ただ『あの男』の思い出に涙。
考現学というか路上観察の手法は、現代でも意義があると思わされた本だった。
他に、デザイナー 渋井直人の休日、続 デザイナー渋井直人の休日 (文春e-book)。星羊社の、はま太郎 vol.16―横濱は南区をとことん歩きたい人に贈る 南区特大号、めご太郎 第二巻もベストにあげておきたい。
次は、企画展&イベントから。
2019年は体調不良などで、以前よりもだいぶ減りましたね。それだけ歳を取ったということか。
体調を整えることもしっかりやらなくては。
●野口久光 シネマ・グラフィクス@横須賀美術館
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ジャズと映画。それは行くよね?という感じ。映画ポスターの美しさに見惚れたな。
●あたらしい時代の始まり@ 鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム
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神奈川県立近代美術館鎌倉本館の廃止に伴い、鶴岡八幡宮が建物をそのまま利用した施設運営のプレオープニングイベント。
建築が好きな人は楽しめた展示だったのでは。また、今回の改装のアーカイブも展示されていて、そういう記録を取っているところに鶴岡八幡宮の本気さを感じた展示でした。マタイカナクテハ。
●吉田謙吉と12坪の家ー劇的空間の秘密 @LIXILギャラリー
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考現学のもう一方の祖・吉田謙吉の展示。自宅の設計の面白さもさることながら、考現学関連のそれが面白かった。
● 畦地梅太郎・わたしの山男@町田市立国際版画美術館
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木版画大好き、アルプ(山の文芸誌)大好きの猫綱さんには、たまらない展示。
台風の余波の残るなか、わざわざ行った甲斐はあったかな。
●地域の編集ーローカルメディアのコミュニケーションデザイン@日本新聞博物館
ブログ記事はなし。
豊穣な各地のローカルメディアに感嘆した。
ローカルであることはマスマーケットから下に見積もられる必要はない。そこにどれだけの熱情を込めることができるのか、が大切なのだろう。
手法としてのローカルメディアはいろいろ実験してみればいいのだ、とおもわされた展示だった。
最後に行けなかった展示(で、悔しい思いをしたもの)を並べておく。
中島敦展――魅せられた旅人の短い生涯@神奈川近代文学館
Archives: Bauhaus 展@ATELIER MUJI GINZA
猫町装丁展@デザイン&ギャラリー装丁夜話 山川直人さんの書いた猫町の本だけは入手。装丁はされていない物だけど…。
江戸の凸凹 ―高低差を歩く@太田記念美術館
他にもある気はするが、重要度は低いかな。
9月以降の体調不良で、どうにもならなかった自分が本当に残念。来年は体調を重視しつつも、もっと読んで歩けるようにしなくては。
2019年もありがとうございました。来年もまたよろしくお願いいたします。