Days on the Rove

好事家風情の日常。読書と散歩と少々の酒。

読了本 2022/01

2022年1月は8冊。積読解消フェスを開催した割には少ないか。(ほぼ読めたのは年末年始の休暇の間だけだからな…)

今まで読まなかったことが不思議なぐらい良い本だった。なんで手を出さなかったのだろうか。
単なる蘊蓄語りにならないのは、足と目で街を観察しているからなのかもしれない。そのバランスがいい。

江戸と東京の地霊(ゲニウス・ロキ)を書物と脚で探していく随筆。こういうタイプの文章はいいな。

著者 : 橋本倫史
本の雑誌社
発売日 : 2021-09-28
古本屋の生活と同時代史(Uber Eats、コロナ禍、オリンピック、坪内祐三)なのだと。

取材した時期もあって、良いノンフィクションになっているなぁ。

著者 :
工作舎
発売日 : 2021-06-23
工作舎の書籍に挟み込まれた新刊案内に掲載された書籍についての随筆をまとめたもの。
工作舎50周年記念出版だったのだね。おめでとうございます。
ひとつひとつの随筆が素晴らしくて、手元に置いて折に触れて読み返したい。

工作舎50周年記念出版…。20周年と25周年の記念出版を当時入手して…幾星霜ってことですねぇ。
最後に残るのは本という言葉にしびれる。本当に残って欲しい。
装丁も素敵なのも特筆すべきか。

ため息をつきながら読む。そこにあるのは、自分の記憶にある古書店の姿に似ている。そこにある本や、値札をじっくりと眺める。きっと掘り出し物があるだろうから。

そもそもは遺族から写真を頂き、それを私家版として刊行したことに始まる本。当時入手できなかったのを悔やんでいたで、こういう形で巡り会えるのはうれしい。

昭和の旅行ブームと民藝の関係。そして白樺派と民藝の関係について改めて考える。

まだまだ総括できないのだよなぁ。

令和4年初春歌舞伎公演『通し狂言 南総里見八犬伝』のもの。お年玉で、手ぬぐいを頂いたのだった。

古書店を舞台にしたミステリーではなく、古書店を舞台に人間の心の機微を描く小説なのだと。どの作品でも書かれるのはコミュニケーションの不全なのだと。

ミステリーとして読むと物足りないのかもしれない。ただ、それ以上に文学なのだと思う。この作品は。

杉浦日向子さんの魅力が詰まったエッセイ集だった。読んでいて若いころの軽薄体っぽい文体を思いだした。

入浴の女王とかのルポエッセイを読み直さなくては。今の東京を杉浦さんがどう見つめるのかを知りたいなと切に思う。

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