Days on the Rove

好事家風情の日常。読書と散歩と少々の酒。

Event Review 2024/05

公開が遅くなったが、それでも続ける。ルーチンワークだと勝手に思っているので。

名称:こんな本、見たことある?
場所:神奈川県立図書館本館
入場料:無料
期間:2023/12/16〜05/08
見学日:2024/05/06
図録:なし。出展目録のみ

斉藤昌三による装丁のものが展示。蓑虫の蓑、蚊帳、ボール紙に漆、番傘(少雨荘だもの)などなど。展示されたいた本の著者のなかに寿岳文章の名が。こういうのが楽しい。

いくつかの書籍のキャプションに斉藤昌三と旧知の沓掛伊佐吉(神奈川県立図書館整理部長)という名が。ちょっとこちらも気になる。ネット上で検索してみると、貸本屋の歴史を研究した文章?があるみたい。加えて鎌倉文庫のそれも。俄然興味が。

蛇皮を装丁に使った本は地球の星生命の星・地球博物館の学芸員に蛇の同定を依頼した旨が。

青貝の殻を和紙にすき込んで装丁に使った本の所に、実際に展示担当者?が和紙にすき込んでみたものも展示。螺鈿細工の屑を使ったのではと推察。案外手はかかってない(超訳)と記載されていた。

県立図書館の装丁関連で検索をかけると県立図書館のそれに「神奈川県立図書館の特徴的な装丁の資料」というPDFが。展示もだいたいこんな内容であった。

https://www.klnet.pref.kanagawa.jp/uploads/2020/12/kiyou013_05.pdf

解説のリンクあったので、貼り付けておく。

www.klnet.pref.kanagawa.jp

小さな展示だが、こちらには興味のあるものなのでじっくり丹念に鑑賞した。眼福であった。

名称:井上安治生誕160周年記念情景の絵師がみつめたModern times 「ガス燈ともる東京風景」
場所:ガスミュージアム
入場料:無料
期間:03/13〜06/16
見学日:2024/05/26
図録:なし

なかなか遠くて尋ねられなかったガスミュージアムにようやく。以前はノエル・ヌエットの企画展もあったようで、…またやってくれませんかね?

さて、井上安治といえば、小林清親の弟子にして杉浦日向子先生の傑作漫画YASUJI東京で取り上げられた人物。おお、久しぶりに読み返すかな。

 

バブル直前の東京の姿(風俗も)と安治のいた東京の対比が面白い。そして安治のいた東京から武蔵野の原風景まで幻視する杉浦日向子のすごみも(重くなく、かろやかなんだけどね)。名著です。

ガスミュージアムでの展示なので、ガス灯が描かれているものが主体。当時のガス管のルートも図示。そしてガス灯が描かれた風景を地図上で同定(場所だけではなく向きも)しているのも面白いところ。

清親の影響を受けた光線画と明治錦絵風の絵では詩情にさがあるのはどういうことなのか。号を探景に改めたのはいつ頃だったかな。
これはYASUJI東京でも指摘されていたことなのだが、本当に凡庸というか時代に迎合した明治錦絵の描き方。光線画にあった情緒は失われている。

小さな展示コーナーだったけれど、丁寧な展示ぶりで好感。眼福でした。行き方も把握できたので、気になる展示があればまた行きたい(ノエル・ヌエットとかね←しつこい)。

常設展示も興味深くて、じっくり見たかった。企業博物館としてのソレも好感の持てる展示でした。この戦後の団地台所とかは自分の琴線に触れるものだった。

シンク下の化粧板の感じとか、グリルのないガスコンロと四角い蒸し器。湯沸かし器(これ、火をつけるのが怖いタイプだ)や換気扇、吊り戸棚のデザイン。ああ。

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