Days on the Rove

好事家風情の日常。読書と散歩と少々の酒。

Event Review 2021/06

いろいろあって遅くなってしまった。

名称:コレクター福富太郎の眼 昭和のキャバレー王が愛した絵画
場所:東京ステーションギャラリー
入場料:¥1200 日時指定予約制
期間:4/24〜6/27
見学日:2021/06/21
図録:あり¥2500購入

緊急事態宣言なのかマンボウなのか、もう、よう判らんが一時休館には青ざめた。
結果、6月からの再開で滑り込みセーフ。
昭和のキャバレー王と知ったのは後年。テレビタレント時代も知らない。最初に知ったのは、芸術新潮の鏑木清方特集号ではないかなぁ。清方さんとの交流の随筆?聞き書き?からのような気がする。自分の中では清方のコレクターがキャバレーの経営者という認識だな。そして、若かりしころに菅原通済(政商?。鎌倉山開発をした人。常盤山文庫のオーナー。)の運転手をしていたというのが、興味を引くところだった記憶がある。

まずはその鏑木清方の絵から。
初冬の雨。鈴木春信を思わせるような絵。江戸の美人画スタイル。

刺青の女。片肌脱ぎの肉感的な女性。こういうのも描くのだなぁ。

妖魚。久しぶりに出会った。やはりこの作品は(清方的ではないのかもしれないが)いい。彼女と久闊を叙す。

社頭春宵。春の夜霧の中だろうか。灯籠のそばに女性。すべてが朧である。

祭さじき。キャプションを読んでなるほどと。祭りを見つめる芸妓。華やかさと眼の中にある憂いと。手に持っているのは、おひねりなのだろうか。憂のある眼がなんともいえぬ。

続いて東の絵師・画家の作品群。

渡辺省亭の塩治高貞妻の三幅。要は高師直に懸想される…って、太平記の話で、だから忠臣蔵の話になるわけで…って、通じるのか、それ。
なるほど、高師直が懸想(横恋慕)するだけの女性を描かなくてはいけないわけで…。こういうの好きなのね、福富さん…。

渡邊省亭の絵。省亭って、花鳥画だけではないのか。このあたりもちゃんと押さえたいところ。

続いて、竹久夢二のかごめかごめ。夢二の作品も初見かな。キャプションを読んで納得感。決して、美人画ではないのだが。

小村雪岱。自分が好きな絵師だけに、テンションが上がる。河庄。男女の間にある緊張感。お互いの腹の探り合い。いいなぁ。

伊東深水。戸外は春雨。日劇の楽屋をロングスパンで描いた作品。当時の雰囲気が伝わってくる。春雨は描かれていない。唯一、広げて干してある傘だけが屋外の雨を感じさせるもの。

池田輝方のお夏狂乱。松本華羊の殉教(伴天連お春)。放心して力のない顔。こういう女性絵のどこにひかれたのか。

ほか、鰭崎英朋も。あとは池田輝方のタッチが作品毎に全く違うのが気になった。

続いて、西の作家たち。

上村松園よそほい。母親が娘の着付けをする図。互いの心持ちが美しい。

北野恒富。道行。女の放念した顔つき。二羽のカラス。なんという禍々しさが。こういうのが好きなのねぇ…

踊り。松浦舞雪。初見の画家。踊ることに夢中なっている様子がいい。

島成園。久しぶりの島成園だな。春の愁い。おんな(これはピアズリーの影響?)。春宵。どれもいい。

鷺娘。寺島紫明。実際のサギを見ると、これがどうして鷺娘というモチーフになるのか不思議なのだが…。絵はいい。

甲斐庄楠音。この人も久しぶりかな。綺麗な女性のはずなのだが、何かグロテスクさを孕んでいるような…。この感覚は何なのか。

洋画はすっ飛ばす。もともと洋画は判らないので。

その次のコーナーは江戸から東京へ時代を映す絵画を並べてある。

吉田博。朝霧。新版画絵師の洋画。新版画とは違う叙情性。

岸田劉生。南禅寺疎水付近。あ、赤い崖。劉生のモチーフはわかりやすいよね。

木村荘八。新聞挿絵のイメージが強くて、洋画は初めてかも。こういう絵が本職なのね…

次は戦争画。

これも特に語る術をもたないのだが、特別展示の向井潤吉の影(蘇州上空にて)の禍々しさに驚く。発表されたのは、1941年。戦中だ。どちらかというと、戦争の禍々しさを表しているように見えるのだが、よく発表できたものだなという感慨が浮かんだ。
決して戦意高揚のプロパガンダにはならないと思うのだが

最後に特別出品の岡田三郎助のあやめの衣。今はポーラ美術館蔵。
うん、これはいいぞ。

当展の図録がいい。作品の紹介にとどまらず、人間・福富太郎についても深く描いてある点が良い。作品とのなれそめ・関わり方を描くことで、そのコレクターの人間性まで描いてあるという。逸品でした。

とにかく、眼福な展示。久しぶりに再会できた作品もあり、新しく知った作品・作家もあった展示でした。

名称:招き猫亭コレクション 夏-猫ビヨリ
場所:藤沢市アートスペース(辻堂)
入場料:¥200
期間:06/19〜08/29
見学日:06/27
図録:なし。出品リストあり。

現代美術から浮世絵まで、ねこまみれ。匿名のコレクターらしいのだが、どういう方なのだろう?

小原祥邨(って、小原古邨のことなのね!)の金魚鉢に猫(縁側)。清宮質文の夕日と猫II(ようやく清宮の作品を見た!)。レオノール・フィニ。国芳の日本駄右エ門。国芳猫紋様豆皿とその元になった猫飼好五十三次。

猫町の初版本の装丁(川上澄生)とつげ義春の猫町紀行の豆本(中身も見てみたかった!)そして新田猫と称する養蚕と猫の絵(ちゃんと内容を把握しないと)。そして大森暁生の月夜のテーブル-Bumese-…。

つげ義春の猫町紀行自体は貧困旅行記で読める(これ、いいので必読よ)。それでも、その豆本は入手したいじゃない!?それで日本の古本屋で検索してみたら、値段ェ…。そんなにするのか、そんなにするのだろうなぁ…。

養蚕と猫の関係もちょっと興味のあるところ。こういう所まで押さえてあるのは凄いな。ただ、殿様が描いた守り絵なので、絵としてはちょっと…w

これ。後期展も行くべきかと考えている。

そのあとは階上のこちらへ。

名称:ザ・ライバル 広重・国芳・三代豊国の共演 東海道五十三対の世界
場所:藤澤浮世絵館
入場料:無料
期間:05/14〜07/11
見学日:06/27
図録:なし

各宿場のアレコレを絵に仕立ててある。(藤沢なら小栗判官とか。大磯なら曾我兄弟とか)まあ、中には関係がよくわからぬ物も混ざっているようだが…。

…というわけで、いろいろキャプションを頼りに眺めていくのが面白い。三大敵討ちって知ってる?俺は知らなかったよ…。伊賀越道中双六だったかな…

五十三次の中途で箸休め的に江の島と鎌倉の近代の建物を描いた絵が展示。山本松谷の絵が多かったのは収穫でした…

この五十三次、キャプション付きで冊子身まとめてくれまいか。結構いい勉強になりそうなのだがなぁ。

直会はDRINK A GO GO→ヒグラシ→大船に移動→箸休めで某チェーン店→大船ヒグラシ。久しぶりの友人にも会って楽しい夜でした。

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