名称:生誕140年柳田國男展 日本人を戦慄せしめよ ー「遠野物語」から「会場の道」、あで
場所:神奈川近代文学館
会期:10.3〜11.23
入場料:¥600
見学日:11.23(最終日!)
図録:あり。購入。¥700
言わずと知れた民俗学の巨人。柳田國男の回顧展。
「遠野物語」が有名か。
まずは子供時代。柳田という姓は婿養子先のもの。本来は松岡。松岡五兄弟の資料。
井上通泰(国文学者・森鴎外と友人)、医師、言語学者、画家(松岡映丘)。そうそうたる兄弟。
農政官僚(貧困の解消)を目指すきっかけとなったとある絵馬。
祠の神体である蝋石の玉をみて、神秘体験する國男。なんだか柳田の民俗学って、他の民俗学の創始者たちに比べて柳田は神秘性を全く感じないのだが、本人は神秘体験をしているという不思議。
学生時代、田山花袋、国木田独歩、島崎藤村(唱歌・椰子の実は柳田國男の実体験だものね)らとの交遊。特に田山花袋との交流は深い。
文学と民俗学の関係性もちょっと考えてみたくなる。
(田山や独歩は散歩文学も書いているので、似通った部分はあるのかもしれない)
農民の救済を目指し、農政官僚に。(しかし、法制局、内閣書記官室、貴族院書記官と歴任、昔は省庁を越えての移動があったのか。本人の思いや如何)
郷土会での内郷村(相模原市緑区)の村落調査。今和次郎の名も出るかと思ったのに…。
南方熊楠との交流。手紙を冊子体にまとめた物。あれを交流と呼ぶのか。一方的に翻弄されたようにも見える。
龍土会という文学サロンでの写真。これって、新東京繁昌記の誰か(吉井勇?)に出てきた物かな?
折口信夫との交流。折口宛の手紙の文章(自分の意図とは違うことを反対する)に苦笑。結構粘着質的なのかもしれないな。
遠野物語。それぞれの説話を抜粋して紹介。全編を読んでないので、興味深く眺める。見学時、水木しげるのあれこれを思い出していたら、しばらくして訃報に接する。腑に落ちる部分があったような、なかったような。
官僚を辞して朝日新聞社に入社。旅と採集の生活がはじまる…と思ったら、国際連盟の委任統治委員として洋行することに。官僚の世界っていろいろあるんだな。
渡欧壮行会の写真に、ロシア人の好事家・民俗学研究者のネフスキーの姿。他の人の名前がわからないのが、惜しまれる。岡茂雄などもいたのかもしれない。
当時の書籍、原稿、絵葉書など。面白かったのは採集用の手帖を作っていたこと。そのまま柳田に郵送すればいいようになっている。アイデアだな。
戦後、社会科や国語の教科書を沢山編集する。これは貧困の解消のために農政官僚になった柳田の思いだったのかもしれない。それこそ民俗学もそこにあったのかもしれないな。