地元の小字調査の第一回レポートです。
Web上、文献等を調べて調査地域の小字をピックアップしています。
その中で見つけた地名の表記ミスらしき物をあげていきます。
「ノ」と「の」と「之」
- 宮ノ前
- 宮の前
この表記ミスは非常に多いです。
調査対象地域以外のある地名では、資料ごとに「ノ」と「の」と「之」がそれぞれあって、どれが正しいのか全くわかりません。
助詞が入るかはいらないか
- 亀ノ甲山
- 亀甲山
発音としては助詞の音も入るのが正しいようです。
(どちらも「かめのこやま」と発音する)
漢字表記はおそらく「亀ノ甲山」が正しいのでしょうが、停留所や施設名に使うときに地名の簡略化がおこなわれ、助詞が外され「亀甲山」として使われたのでないかと推察しています。
読み仮名が違う
滝ケ久保
- たきくぼ
- たきがくぼ
これも助詞問題の一つです。
「ヶ」を読んでも読まなくても意味としては変わりませんが...
漢字が違う
- 長谷久保
- 長谷窪
「久保」も「窪」と同じ意味で使われているのだとは思いますが、この場所は現在「窪」の字は使われていません。
資料の記述者の記述ミスの可能性が高いと思います。
- 内広地
- 内耕地
耕地と広地では意味が違ってきます。
しかしこの場所はどちらでも意味としては取れる場所なので、どちらが正しいのかいまだ不明です。
これも記述ミスなんだろうなあ....
やと
- 西谷 にしやと
- 西谷戸 にしやと
「谷戸」は武蔵野、相模にはよく見られる地名です。
細長く奥まった谷地に集落がある様子なのでしょう。
おそらく「谷戸」が正しい地名で、地名の簡略化の過程で「戸」が外されたのではないでしょうか
旧字体
- 木曽
- 木曾
間違いなく旧字体が正しいでしょう。旧字・新字問題は根が深いので触れませんが、こういう弊害もあるということで。
...とここまでは、まだましな方です。この先はあきれるばかり....
明らかに誤記と思われるもの
- 谷ト
- 谷戸
「ト」って...あきらかに略字ではないかと、そのまま記録するもんじゃないと....
- 一丁田 いっちょうだ
- 一町田 いっちょうだ
これも略字でしょうね(広さの単位「町」の略字「丁」)
- 下坂 しもさか
- 下阪 しもさか
まあ意味としては同じだけど....「さか」の意味は違ってくるような気がしますが
- 山王下 さんのうした
- 三王下 さんのうした
- 三山下
3は明らかに1と2が混ざった地名ではないでしょうか?
まあこういう地名があることも否定はできませんけど(爆)
- 鳥越 とりごし
- 島越 しまごし
まあ同じ町内にこういう地名があることも否定はできませんけどね。
記述者はメガネ掛け替えた方がよいのではないかと
複合型
- 滝ケ久保 たきくぼ
- 滝ケ久保 たきがくぼ
- 滝窪 たきくぼ
- 北ケ谷
- 北ノ谷 きたのやと
- 北の谷
意味は同じなんですけどね....記録者の能力に疑問が生じます。
調査方法が悪いのか、記述者の能力が低いのか、活字を拾った人が悪いのか全くわかりません。
しかしながら学術性や公的文書の性格からするとこのレベルはひどいです。
地名調査は「地名のゆらぎ」まで考慮しないと駄目なようです。