Days on the Rove

好事家風情の日常。読書と散歩と少々の酒。

Event Review 2024/01

2月はどこにも出掛けず、イベントのReviewも各期を失っていた。
改めて1月の感想を。3月(中旬を過ぎてから)に

名称:江口寿史展ノット・コンプリーテッド
場所:世田谷文学館
入場料:¥1000
期間:2023/09/30〜2024/02/04
見学日:2024/01/14
図録:なし

いろいろなミュージアムやギャラリーで開かれていた江口寿史さんの展示をようやく行くことができた。それだけでも自分としてはうれしい。

とにかく原画だらけ。眼福。古い人間なので、ストップ!ひばり君とすすめ!!パイレーツの原画にアレコレと感慨深いものを。
あのサイズだからこそ、いいのだなと。スマホでKindleではわからないものなぁ。

あと原画だからこそってのが、ホワイトの入り方。じっくりと見つめる。修正以外にもハイライト風に使うこともあるのね。

イラストも興味深く眺める。中学生の頃、江口寿史さんをこういうスタイルのイラストを描く人だと認識したのは、なんの文庫の本だったかな。もうすっかり忘れてしまった。やはり情勢の顔が表紙だったと覚えているのだが。

個人的にはわたせせいぞう風でをつげ義春さんのねじ式を描いたギャグ漫画。わたせの国のねじ式がツボだった。それぞれのパターンを踏まえてのパスティーシュぶりが面白かったな。

「岡本綾(これは検索して!元女優の岡本綾からのインスパイアだと想うが、どちらかといえば梶尾真治やたんぽぽ娘のそっちだとおもう。)」も原画を、これもちゃんと読みたいのだけどなぁ。

館内のBGMは江口さんのチョイス。セトリがQRコードで紹介されていたので、帰宅後チェック。いいなぁ。ある時代の(いい意味での)サブカル的チョイス。サブカルが感度の高いという意味で捉えられていた頃の匂いが。

ネームのノートが多数展示。ふぁぁー!これで白いワニが生まれるの?ってぐらいのネームにみえたけどな。

1Fのライブドローイングされた絵をマジマジと。いいなぁ。描いているところを見てみたかった。

 

いいなぁ。

ミュージアムグッズは2022の寅年にちなんだタイガースのユニフォームをきた女の子とヘッドホンをした女の子のA5サイズカード。そして古いラジオが描かれたドリップコーヒーを購入。

もう一度行きたかったが、これが最初で最後のノットコンプリーテッド。未完であり続けること、それが今でも第一線の漫画家・イラストレーターであることなのだと思った。

名称:新版画の沁みる風景 川瀬巴水から笠松紫浪まで
場所:川崎市川崎浮世絵ギャラリー
入場料:¥500
期間:2024/01/05〜02/04
見学日:2024/01/14
図録:なし

新版画は、大正期に版元の渡邊庄三郎と、当時気鋭の画家と彫師、摺師の協業により制作された木版画です。浮世絵の木版技術を受け継ぎながら、さらに実験的で精緻な彫摺の工程を経て、芸術性の高い斬新な版画作品が生み出されました。
本展では、大正初期より制作された新版画の風景画を中心に公開します。旅先での写生をもとに、豊かな詩情と郷愁を感じさせる風景画を表わし、新版画を牽引した川瀬巴水をはじめ、同じく風景画を手がけた笠松紫浪や土屋光逸、橋口五葉や吉田博らの約90点を展覧します。

…これは好み。行かなくてはならないて。

というわけで、世田谷文学館の江口寿史展のあとは、川崎浮世絵ギャラリーの新版画展に。

江口寿史さんが新版画に言及していたのを思いだし、雑誌で購入していた東京人の新版画特集号を読み直ししたくなる。結果、今朝移動中の電車の中でKindleでも購入しちゃったよw

 

見ているはずなのに記憶に薄い高橋松亭。たぶんしっかりと見たのははじめてだと思う小原古邨。これらはちょっと良かった。川瀬巴水や吉田博がいいのは言うに及ばずだが、このふたりは良かった。

バートレットの根岸・鎌倉・磯子。特に根岸・磯子は地形感で場所を特定できた。まあ、地元民なのでね。
それにしてもこのあたりの作品を押さえているのが、さすが斉藤文夫(川崎出身の元県会議員)コレクションという気がするな。

久しぶりに巴水のツツジを。箱根の山のホテル(元・三菱の別荘)のもの。このツツジの色はいいなぁ。山のホテルも一度は訪れてみなくては、ね。

エリザベス・キースの鎌倉 夏の思い出。嗚呼、これもいいね。藍と白もいいが、こちらも良い。

インスタで江口寿史さんが言及していたノエル・ヌエットが三点も!以前から気になっている人。ペン画を新版画仕立てにしたところ。その叙情性。江戸とも現代の東京とも違うもうひとつの(実際に存在した)東京の姿がそこに。良き。

名取春仙、橋口五葉、山村耕花。名取春仙の風景画ははじめてかな。

織田一磨、伊藤孝之、奥山儀八郎。織田一磨は石版画なんだけど、それでも新版画というのかね?まあ、好みなのだが。伊藤孝之は初見だと思っていたが、大田区立郷土博物館と千葉市美術館の新版画展でも見ている模様(Twilogで検索)。

奥山儀八郎は初見の模様(Twilog調べ)。大船観音なんだけど、年代不明とのこと。ちゃんと目鼻が整っている&参道?を歩いている人の格好で、ある程度年代は絞れそうな気が。
(そもそも大船観音が完成したのはいつだったか。戦後のはずだが)

土屋光逸、笠松紫浪、石渡江逸。新版画の晩年期の人々。石渡江逸は横浜系の作品が多いので、斉藤文夫コレクションだなあとあらためて感じたな。
笠松紫浪は作品によって、作風が変化する(線刻の太さとか)ので、少々違和感が。まあ、試行錯誤なのだろうな。(石渡江逸は逆で、精細なんだよね)

改めて新版画における風景画(特に東京・横浜のそれ)に特段の興味があるのだな、と。今はもう見られぬ風景がそこにあるのだと。良き。

期間が短い展示なのだが、一見の価値はあると思う。

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