Days on the Rove

好事家風情の日常。読書と散歩と少々の酒。

企画展・イベント感想2021/05

緊急事態宣言やマンボウ故に見ることができたものが少ないが…それでも書き続ける。

名称:川瀬巴水と新版画
場所:川崎浮世絵ギャラリー
入場料:¥500
期間:05/15〜06/06
見学日:05/23
図録:なし。展示目録のみ。

…最近新版画の企画展が多いのはなぜなのか?こちらは楽しめれば良いので、ありがたいのだが。

巴水を中心に神奈川が舞台の作品が多数。
まずは巴水以外の作品から。

橋口五葉の鴨。高橋松亭の乙女峠。山本昇雲(報道画家・山本松谷と関係者?後で調べたら同一人物でした)の今すかた 花やしき。いや、どれも新版画的ではないけどね。

鏑木清方の生麦風景と鶴見風景。これらは絹本着色。ちょっとこれはいいね。(新版画ではないけどね)

伊東深水の富士三景之内 於箱根見晴台写。深水の風景画ってあまり見たことがないような。茫漠とした箱根の草原の描写が良い。

バートレット、キース(これは初見の人か?後で調べる)、ヌエットの作品がそれぞれ一点ずつ。ヌエット、いいなぁ。ペン画を新版画仕立てにしたような感じだけど、それがいい。ヌエットの作品や文章をちゃんと見てみたいのだが…

エリザベス・キースは以前に見ているようだ。ブログを検索すると、記事が抽出された。

nekotuna.hatenadiary.jp

ようやく川瀬巴水。相州七里ヶ浜、鎌倉大仏など神奈川が舞台の有名な作品が多数。鎌倉妙本寺(海棠)は初見か。海棠のふくふくとした感じが良い。ほか、鶴か岡八幡宮、鎌倉建長寺、春の月(二宮海岸)、馬入川(初見か?)、相州前川の月(前川が気になって街道歩きっぽいことをはじめたという話もある)

平塚市美術館でも並べてあった、元箱根見南山荘風景の作品群。今の山のホテル。ツツジの美しさよ!(平塚のものがかなり鮮やかにみえたような気がするのは、エディションの違いか?)

久しぶりの馬込の月。やっぱりこれはいい。今の大田区の風景をおもうとさらに。

吉田博。桜八題。八題といいながら、6作品のみ。これも色が落ち着いているように見えたな(桜の色ね)。エディションの違いかな。見学中に名誉館長らしき方がほかの方に、全作品を揃えられていない様なことを仰っていたような気が。(気のせいかもね?ずっと聞き耳を立てていたわけではないので)

神奈川の風景を画題にした石渡江逸。生麦、万国橋、柳橋、浦島寺、長嶋橋。ええわぁ、江逸…。生麦と万国橋はホントにいい。柳橋と浦島寺は印刷物では見た記憶。長嶋橋は初見か。長嶋橋って、大通り公園の所のかな。伊勢佐木長者町駅のモニュメント(の橋銘板)でみたような気がする。

小原古邨の作品がふたつ。月夜の洗馬。これ、いいわぁ…。小原古邨の作品もちゃんと追いかけないとな、とおもわされた。

笠松紫浪の作品も!斉藤文夫さん。ちゃんと揃えているのだなぁ…
笠松紫浪の横浜港ー谷戸坂も展示。これ、ハマっ子としては、うれしい作品よね。あ、この作品があるから、コレクションしたのかもしれない。

土屋光逸の日光陽明門。吉田博の同じ場所の作品を思いだすような構図と色使い。多色刷りとキャプションがでていたような気がするのも同じか。

最後に、グリーティングカード(巴水)と絵封筒(紫浪)。こういう、小さな作品もいいね。

というわけで小さな展示スペースだけど、本当にいい展示をするなぁ、と思いましたよ。多分、コレクション以外の展示はしないと思われるので、結構なコレクションの分量があるのでは、とも。

眼福の展示でした。

名称:日本地名研究所40年の歩み
場所:東海道かわさき宿交流館
入場料:無料
期間:05/11〜06/27
見学日:05/23
図録:なし

日本地名研究所とその主宰・谷川健一さんのパネル展示。
パネル展示なので感想という感想もないのだが、谷川健一さんって平凡社の編集者だったのね。当時の太陽も展示してあったよ。小説も書いているようだし、多才な方だったのだなぁ。

名称:春期特別展「火球と隕石」
場所:平塚市博物館
入場料:無料
期間:03/20〜5/30
見学日:5/30
図録:あり。購入。¥500

昨年7月2日に巻頭で観測された大火球。のちに習志野隕石として話題になったもの。
それの実物展示。

習志野隕石の実物が展示してあるわけだが、あんなの隕石と気がつけるのか!石と違いがわからないよ。落下した場所の瓦でも割れてなければ、気がつかないだろうて。

火球の観測方法でカーブミラーとコンデジを使ってほぼ全天撮影する方法が実際に展示してあったのだが、使われていたカメラがリコーのGX100/200…。あのカメラ、そういうことには使いやすいカメラだったかもしれないなぁ。ISO100以上はノイジーで使えないカメラだったが…ww

ATOMCAMをつかう方法はちょっと気になった。一台2500円程度のカメラで…。俄然興味が湧いた。

www.atomtech.co.jp

流星群の元になる彗星の塵の分布と軌道を図解してあったのだが、なんとなく流星群のスタイルの違い(出現時期の長短とか、そういうの)が理解できたように思えた。

火球と隕石の図録も購入。¥500。展示パネルの内容は網羅されているので、見逃したのなら図録を後追い購入すれば大丈夫。付録のプラネタリウム流星投影機はそのまま取っておこうと思うw

ほか、常設展では石材の展示が異常にわかりやすいので、興味ある方は見にいくべし。というか、自然も歴史・民俗もうまく押さえてある印象でした。

くわえて、過去の図録も気になる物がいくつかあったので、また平塚に出掛けて購入したい。

名称:第13回『都市のラス・メニーナス』~水路上観察入門~ 
場所:youtubeストリーミング(アーカイブあり)
入場料:無料
期間:====
見学日:05/23
図録:なし

暗渠マニアックスのお二人が路上観察の神・林丈二さんと鼎談するストリーミング放送。

 

 

 

 水路上観察入門を読んだ時は、自分が水+路上観察なのか、水路上+観察なのか、ちっとも判断できなかったが、streamを見たあとならわかる様な気がする。それが正解なのかどうかはよくわからんけどな。

stream中で暗渠探索者は足が速い/路上観察者は足が遅いという話があったが。
暗渠探索をする時、自分の歩くスピードってかなり遅いと思うのだよな…。結構感覚的だし(地図で検証しない)、暗渠以外に興味ある物があれば、フラフラそちらへ歩いてしまうし…。俺と一緒に歩いた人なら、わかるかな。その感覚。

林さんの言葉で、『いったんピントが合うと、同質なものにピントが合うようになる』という言葉があった。
結局は路上観察(暗渠探索が路上観察の範疇かどうかは別として)って、見立てなのだろうな。見方ができる/ピントが合うようになると、世界が一気に広がる感覚が楽しい。
俺にとっては、横浜の暗渠で見つけた標語柱(コンクリート製で川を綺麗にと書いてあるもの)が、まさにそれで。橋跡もそれに近い物があるのかなぁ。

IMG_7220

こんなのを一度暗渠に付属する(可能性のある)ものと認識すると、ほかの場所でも見つけられるようになった。個人的には、この感覚を「目をひらく」と呼んでいるのだが、わかるかな?このニュアンス。

ほかに、林さんの言葉で気になったもの。(速記メモなので、超訳かもしれない)
『路上観察は一人でやらなくては面白くない。アンテナが鈍る』
『あくまでも道草』
茶目っ気たっぷりに仰っていたが、これらの言葉も重いなー。そう、道草は一人なんだよね…

林さんが赤瀬川さんを評した、『化学反応を楽しむひと。人が見ていない物事の入口を見つけるひと』というのに、膝を打つ。見立ての名人で、かつ言語化も同時に行う人。
それが林さんと赤瀬川さんの違いなんだよね。目をひらくのは同じだが、体系化してその概念にあそぶ人と、ただただブラックホールのように自分の興味を見たそうとする人の違い。

暗渠マニアックスのお二人の話も面白い。特に高山さんの付箋を壁にペタペタ貼って、本の内容を作り上げていく様子が。俺にあれだけの集中力はないな…
吉村さんの暗渠そのものではないが、暗渠にある路上観察物件的な物(自前階段)とかの見つけ方も面白かったな。

で、お二人が水路上観察入門のなかで、はじめにを吉村さん、おわりにを高山さんが書いているのだが、吉村さんが林さん、高山さんが赤瀬川さんについて言及している。
それが、お二人の志向の違いを表しているような気がしてならない。うまく言語化はできていないのだが。

 

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