標語柱ってなんだ?旧禅馬川の実例をもとに
まずは実物の写真を見ていただきたい。
川を綺麗にと訴えたコンクリート製の柱。
このような柱が横浜市内の川や暗渠で何本か発見した。
公式に何と呼ぶものなのか不明だが、これをとりあえず標語柱と仮称したい。
別角度から。文字がよく見えるだろうか。
これらの写真は横浜市磯子区の旧禅馬川暗渠にある標語柱。
各面には、『きれいな河川すみよいよこはま』、『《市章》河川にごみや汚物をすてないでください』、『みんなで河川をみまもりましょう』、『横浜市』と記載されている。
Googleのストリートビューでも確認できる。
これは以前にブログの記事にしたことがある。
綺麗に残る暗渠の左側に見えているのがわかるだろうか。
どうしたって、川のそばにあらねばならない内容(標語)である。これが暗渠のそばに残っていれば、それもひとつの暗渠サインになると気がついた。
標語柱と認識してからは、ほかの場所でも標語柱を見つけられるようになった。それまでは目に入ってこなかった(入っていても気がついていなかった)ものなのに…。
神奈川区入江川支流足洗川暗渠の標語柱
2019年撮影。場所はここ
標語柱の右側が暗渠(変わったタイルの貼り方をしている歩道部分か)。
写真は2019年のもので、禅馬川のものと同時期の撮影のもの。
ただ、それ以前の暗渠散歩で気がついていた物体ではあった。
すでに文字は摩滅していて、なんだろう?と思った記憶はある。
現在はこの標語柱は新たに白く塗られ、文字の痕跡があったのかどうかもわからなくなっている。
その状態はストリートビューで確認できる。
撤去された神奈川区入江川支流足洗川暗渠の標語柱
実はこの近くにもう一個標語柱があった(過去形)。
場所はここ
先ほどの場所と60メートルも離れていない。
以前の様子はこちらで。(これは標語柱と気がついたあとの写真。2019)
標語柱の後ろにみえる蔦の絡まった工事用パネルの裏が川跡。
現在の様子をストリートビューで確認すると
それらしきものはない。
先の写真を撮った2019年にこの足洗川のふたつの暗渠の間で暗渠の埋め立て工事が行われていたので、その直後あたりに撤去されたのだろう。
そのときのブログ記事。
一度、こういうものに気がつくと、普段見慣れた風景の中で発見できるようになるのだと気がつかされる経験があった。
栄区いたち川の標語柱。
これは実際の川・橋のそばで発見したものである。この場所はこどもの頃からなじみ深い場所なので、本当に目に入っていなかったのだと実感。
場所は、ここ。
いたち川の河川改修(親水化)した時期を検索すれば、いつ頃にできたものなのか見当をつけられるかもしれない。無論、親水化以前の可能性(親水工事前の河川改修もあるはずなので)もある。
どうやったら調べられるだろうか。
wikipediaでは河川改修の時期と親水化の時期の見当はつくのだが…
このように普段目にする(していた)場所でも発見できるとなると、過去に探索した暗渠や散歩した河川沿いにもあるのではないかと想像できる。
そうして発見したのが次のものである。
金沢区侍従川山王橋付近の標語柱
現存河川型(非暗渠型とすべきか)文字残存タイプ標語柱とでもいえばいいのだろうか。
場所はここ
この場所もよく歩いていた場所なのに…。一度認識できるとほかの場所でも認識できるようになるというのは路上観察の基本なのだろうが、自分もそれを体験することになるとは。
こうなってくると暗渠上で標語柱を発見したい。が、実際に歩いて探すのは、結構な労力の手間がかかる。それでも歩かなくてはならないのだが…
などと、思案していると急に昔の記憶が蘇った。アレはひょっとして標語柱ではなかったのか、と。
ということでまずはストリートビューで眺めてみる。
うん、無い。終了〜。
が、ストリートビューにはこういう機能がある。
『他の日付を見る』!
おお。2014年9月で存在しているのがみえる。(是非拡大してみてください。さらに2009年に切り替えるとそちらの方が見やすい)
というわけで見出しを
磯子区笹堀の禅馬川本流(禅馬川支流笹堀ではなく)暗渠の標語柱
禅馬川本流/禅馬川支流笹堀もいずれブログの記事に書きたいのだが…それはさておき。
この標語柱は非現存暗渠型標語柱タイプとでも名付けるべきか
以前にこの場所を散歩していて、邪魔くさい車止め(当時はそういう認識)と感じた記憶があったので、調べてみたもの。そのときに気がつかなかったのが悔やまれる。
これは見落としが結構ありそうに思えてくる。
当然、当時写真には収めていない。ストリートビューのみで実在を確認できる状態。
本稿とは関係ないが、日本でのストリートビューが始まったのが2008年らしい。およそ、16年の蓄積があるとすれば、都市の変化のアーカイブとして結構重要な位置を占めるのではないだろうか。
とりあえず、現状で発見(記録上でも含む)したのは5件。暗渠型が3件(現存1、記録1、非記録1)。非暗渠型(河川型よりこちらを使いたい)が2件(現存2)。
今後の課題
- ほかにも標語柱があるはず。発見する。非現存もできうる限り記録したい。
- 標語柱が作られた時期は。発生から終焉まで
- 土木事務所や市の公的機関で標語柱の記録はないだろうか。
といったあたりか。
ちなみに現在標語柱に相当するのはこういうものである。
これも興味深いところがあって、文言や絵柄にいくつかパターンがある(浴衣を着た少女が蛍を眺めているものとか)。これも調べてみたいが、これは現存する河川にあるものなので、暗渠からは若干離れる。ので、「これは別のお話し」になるだろうか。
今後、これらのものについて成果はあるのだろうか?実際に見つかるものだろうか?
…猫綱先生の次回にご期待下さい…?