Days on the Rove

好事家風情の日常。読書と散歩と少々の酒。

2013/03/24路上と観察をめぐる表現史—考現学以後@広島現代美術館

名称:路上と観察をめぐる表現史—考現学以後  こちらも
場所:広島現代美術館
会期:1/26〜4/7
入場料:¥1000
見学日:2013/03/24
図録:あり・購入(¥2310) 路上と観察をめぐる表現史 ──考現学の「現在」 ISBN: 9784845912094

rojo

民家の研究者・建築家であった今和次郎(1888〜1973)は1920年代なかば、後に舞台美術家として活躍する吉田謙吉(1897〜1982)らとともに、東京の街と人々の風俗に注目し、路上における人々の生活、風俗の現状を様々な角度から調査考察する研究を始め、「考現学」と名付けました。それは、1923年の関東大震災をきっかけに人々の生活、創造を見つめ直し、作品として特別視されることのなかった、市井の創造力に注目する新たな視点の獲得と捉えることができます。その後、1986年に結成された赤瀬川原平(1937〜)、藤森照信(1946〜)らによる路上観察学会をはじめ、美術や建築など様々な分野で路上の事物を観察し、記録する多彩な活動が展開されてきました。

本展覧会は、戦前から現代にかけて観察者たちが路上に見出した創作物をあらためて紹介するとともに、様々なアプローチを通して観察/発見という行為が表現として成立する様子に注目します。観察する者と観察される物(者)の双方が、ともに表現とは何か、という重大な問いかけを投げかける、芸術の在り方について考察する展覧会です。

開催される事を知ってから、何が何でも行きたかった展示。ようやく行けました。
以下感想

狩猟採集民(路上の事物を観察し、記録する者をこういう呼び方をする)たちの野性的感覚に嫉妬。自分らはなんてつまらない狩猟才覚しかないのだろう(不遜である。当たり前のこと)。

知性ではない身体的感覚とその行動力。 狩猟採集を続けていく事の大切さ。
一つ一つの事象はたいした事はなくても、それが積み重なることで何からしらの情報性を作る/発信するようになる。(自分も続けなくては)
(そしてこの記事を思い出す)

そしてどんな狩猟採集にも先達はいるという事実。先行研究(事例)と自身の採集への意欲の持ちかた(極めて個人的な意見です)

昨年の今和次郎展や過去の書籍で知っている今和次郎、吉田謙吉、路上観察学会の面々などの展示は、実物を拝めたという感慨しか興らず(それでも感動する。実物だもの。聖骸布を目の当たりにするようなもの)

それ以上に深く深く感動させられたのが、今まで知らなかった路上採集の数々。コンペイトウ、遺留品研究所、チーム・メイド・イン・トーキョー、ログズギャラリー、下道基行の面々の展示。

とくに遺留品研究所のメンバー真壁智治による「アーバン・フロッタージュ」。
壁や道路といった都市の表層に紙を当て鉛筆で擦る事で立ち上がる都市の姿。
そして擦るという行為は身体性がある行為であり、それは都市を身体的に感じる事であるとも言う…(自分でなにが言いたいのかわからなくなってきたw)
フロッタージュ自体は古くさいセコンドハンドの手法だが、ここではファーストハンドの方法になっている驚き。
先の感想でも書いた積み重なる事の素晴らしさ。一枚だけ展示するのではなく壁面全体にフロッタージュを並べたことによる情報性の出現。(圧倒されました)

もうひとつが下道基行の「つなぐもの」という作品。
市井の人々が生活環境の中で必要に迫られ、限られた技術や材料で作った橋の機能を持つ物体と、その存在が作り出す風景を集めたもの。
その橋の機能を持つ物体をコレクションするだけでなく、その実際の風景、そしてその物体の持ち主への聞き書き。 それらが合わさって、「つなぐ」という行為の根源を考えさせられる展示でした。

(実物を見ないと自分の感動は伝わらない…でしょうね(溜息))

素晴らしい企画展でした。関東に巡回…してほしいなぁ。

今回の戦利品
ピクトさんバッジに今和次郎手ぬぐいも追加(どうしても欲しかったのでw)。

今日の #戦利品 ピクトさんバッジと今和次郎手ぬぐいもね。

今回の旅の顛末をすこしだけw
旅行は往路高速バス、復路新幹線というゼロ泊二日の強行軍日程w。
往路のバスは乗り心地がいいという評判でしたが、思ったほどでもなくw苦労しました。(それでも睡眠はとれたので、良しとしないと)

広島では美術館の開館時間まで余裕があったので、宮島をスピード観光。
じっくり見られなかったのが残念でした。(個人的には厳島神社裏の社叢林(弥山)に行けなかったのが残念。機会あれば…)

個人的には、路面電車のある街の風景にやられました。あとは見かけた中古カメラ屋が多かったこと(XA2買えば良かった?)。古書店をのぞけなかったのは心残り。

朝昼兼用で15時過ぎに(えっ?)広島焼を堪能。
夕飯は帰浜後、野毛の例の店で一杯w 慌ただしい旅でしたが、愉しみました。

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