Days on the Rove

好事家風情の日常。読書と散歩と少々の酒。

横浜八景

とある本にでていた横浜八景についてまとめ。備忘録的に

八景とは

八景とは、ある地域における八つの優れた風景を選ぶ、風景評価の様式。10世紀に北宋で選ばれた瀟湘八景がモデル。

wikipediaより

というもの、県内なら金沢八景 *(駅名化されのちに地名化)、大磯八景 *が有名。

瀟湘八景では風情ある情景として以下の八個を揚げているため、ほかの八景でもこれの情景を踏襲。(例外あり)

  • 晴嵐:本来は春または秋の霞。青嵐と混同して強風としたり、嵐の後の凪とする例もある。
  • 晩鐘:沈む夕日と山中の寺院の鐘楼の組み合わせ。
  • 夜雨:夜中に降る雨の風景。
  • 夕照:夕日を反射した赤い水面と、同じく夕日を受けた事物の組み合わせ。
  • 帰帆:夕暮れの中を舟が一斉に港に戻る風景。
  • 秋月:秋の夜の月と、それが水面に反射する姿の組み合わせ。
  • 落雁:広い空間で飛ぶ雁の群れ。
  • 暮雪:夕方ないし夜の、雪が積もった山。

これを横浜の地域に当てはめたのが、明治八年刊行、森田夕昇著『横濱地名案内』。

  • 本牧晴嵐
  • 北方晩鐘 (北方町は本牧より元町よりの町名)
  • 公園夜雨 (不明)
  • 鉄橋夕照 (吉田橋)
  • 波止場帰帆 
  • 伊勢山秋月 (桜木町付近の山、野毛と連絡)
  • 吉田落雁 (現在の伊勢佐木町あたり、当時は一面の水田!)
  • 浅間山暮雪 (元町、百段公園、当時は遠望で有名)

ただの風光明媚な場所を選ぶだけではなく、波止場、鉄橋といった新しい事物が入っているのも横浜らしいところ。

この横浜八景いくつか種類(知りうる限り4種類)がある。
作者、年代によって風景が変わる。

横浜八景 『横浜湊はなし』
(幕末)
一猛齋芳虎版
(文久元年)
平塚梅花版
(明治三年)
横濱地名案内
(明治八年)
晴嵐 野毛 本牧
晩鐘 (道行の遠鐘) 北方
夜雨 岩亀楼 石川 公園
夕照 本村 (吉田橋晩涼) 鉄橋
帰帆 (波止場入船) 波止場 (海岸碇船) 波止場
秋月 浅間山 美代嵜 (本牧待月) 伊勢山
落雁 吉田橋 吉田
暮雪 (朝市の雪) (磯兒残雪) 浅間山
追記 ほかに
港先夜さくら
谷戸橋汐見
衣紋坂夜見世
辨天汐干
駒形朝市
浜の海苔取。
岩亀楼は遊郭。
美代嵜=港崎。岩亀楼があった横浜公園周辺を指す地名。
本村、道行は不明。
ほかに
天妃進香(遊郭絡みか?)
浅間邸遠望
野毛櫻花。

磯兒=磯子?

今の横浜市中区周辺でも都市部・郊外があったということか

金沢八景=小泉夜雨、称名晩鐘、乙艫帰帆、洲崎晴嵐、瀬戸秋月、平潟落雁、野島夕照、内川暮雪

大磯八景=唐ヶ原落雁、花水橋夕照、高麗寺晩鐘、化粧坂夜雨、照ヶ崎帰帆、鴫立沢秋月、小淘綾晴嵐、富士山慕雪

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