Days on the Rove

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[企画展]3/4 生誕100年 藤牧義夫展 モダン都市の光と影

展覧会名:「生誕100年 藤牧義夫展 モダン都市の光と影
場所: 神奈川県立近代美術館鎌倉館
会期:1/21〜3/25
入場料:¥700
見学日:3/4
図録:有・購入(¥2100) 藤牧義夫―生誕100年(求龍堂刊・ISBN978-4-7630-1131-2)


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鎌倉近美の藤牧義夫展にようやく見に行きました。

藤牧義夫とは昭和初期に活動した若手版画家。ただし24才で突然失踪し、その後の行方は全く解らないという人物。新版画集団に属し、モダニズム感あふれる木版画と細密描写の絵巻(後述)が有名。

以下感想。

木版画にとどまらず、水彩画、図案(図案家に弟子入りしていたらしい)、エッチング、礼状等も展示。彼が東京に出る前の亡父追悼の書巻も展示されている。
とくに水彩画のタッチは木版画や絵巻とは違い、非常に柔らかいタッチかつ空気感を感じさせるものだった。
エッチングや図案も(当然とはいえ)細かいタッチであり驚かされた。

あと(当たり前といえば当たり前のことだが)同じタイトル・作品のなかでもエディション違いがあり。それらが一同に展示されてじっくりと比較してみる事が出来た。
同じ木版を利用したものでも刷り(色の載せ方)の微妙な違いや、木版の更なる掘り込みなど彼の試行錯誤具合が伺えたのが興味深かった。
(エディション違いには贋作の疑いのあるものもあるそうで(今回はそれらは展示されていない筈)注意が必要)

今回の企画展の白眉は隅田川絵巻として知られる(本当は白描絵巻というらしい)の全部の展示。隅田川の岸辺の容姿を視点を変えながら(パースペクティブを大胆に変えながら)写し取ったもの。
以前同じく鎌倉近美で開かれた『モボ・モガ展(’98)』でも展示されていた筈なのだが、当時はあまり感銘を受けなかったものなので(もったいない!というか当時は藤牧義夫を知らなかった…)今回はじっくりと堪能できました。
彼が描いた目的も理由も全く解らない(らしい)けれども、その迫力に圧倒された。
あと、パースペクティブの大胆さというのは、写真(というか光画)の影響もあるのではないかと推察する。時期的にどちらが早いのかわからない(調べればすぐ解るのにw)が、堀野正雄(写美で3/6から企画展が!)などと同じ匂いを感じる。

個人的には写真で同じような構成の物を(当然今の風景を)撮ってみたら面白いのではないかと感じた。(かなりの広角レンズが必要な気がすれけれどもw)

蛇足ながら近美で図録(MM)を買うと、限定で白描絵巻のDVDがついてくる。
じっくりと鑑賞する予定。

(追記)藤牧義夫の素晴らしさに気がついたのは、前述の『モボ・モガ展』の図録を自宅で眺めていた時。つまり、展示会場では全くスルーしていたわけで…(汗)

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