Days on the Rove

好事家風情の日常。読書と散歩と少々の酒。

Event Review 2023/06

名称:大阪の日本画
場所:東京ステーションギャラリー
入場料:¥1400
期間:04/15〜06/11
見学日:06/04
図録:あり。未購入。価格不明

島成園に興味があるので、それだけで十分なのだが、小林柯白、木谷千種、岡田雪窓等をしれて良かった。北野恒富も良かった。

南画や文人画に全く興味わかなかったな。船場派(という商人宅に飾るような季節感のある絵←今回の展示における造語?)はちょっと興味が湧いたかな。

なお、決定版! 女性画家たちの大阪という企画展大阪中之島美術館で12/23〜02/25で開催予定らしい。島成園の作品をもっと見られるなら出掛けたい。

気になった作品などを。北野恒富「紅葉狩」、小林柯白「道頓堀の夜」、中村貞以「失題」、岡田雪窓「谷間の湯治場」、木谷千種「をんごく」、橋本花乃「七夕」。この七夕という作品、俺は結構好きなのだが、本人も自信作だったのに入選には至らず筆を折ったらしい。勿体ないことを。

島成園は三点のみ。「夢」、「祭りのよそおい」、「影絵之図」。「祭りのよそおい」、「影絵之図」は本当にいいぞ。

どこかのコーナーに島成園の写真が貼ってあったのだが(なんらかの情勢画家による四人展?)、よく見かける写真の雰囲気と変わらずだなと。絵のイメージとはまたかけ離れているのだが。なんというか、松たか子若かりしころのなににも物怖じしない目つきと似ているんだよね。ご本人がそうなのかはわからないが、その雰囲気が(意味不明)

島成園を知ったのは、池内紀の本から。

 

同時期の女性日本画家、京都の上村蕉園、大阪の島成園、東京の池田蕉園と合わせて三園などと称されたのだが。今読んでいる漫画の主人公が池田蕉園。

 

木谷千種「をんごく」。子供たちがまちを練り歩く祭りを家の格子のなかから眺めている女性の絵。女性の後ろ姿と一人だけそれに気がついたこどもの顔。キャプションの推察もうなづけるような刹那であったのかもしれない。

大阪の近代というものに興味を持った。そして島成園の作品をもっと見たいという欲が出てきた展示だった。

今回の見学中に東京ステーションギャラリー内で地震に遭遇した。結果的には大した地震ではなかったし、館内放送もないぐらいの地震だったのだが、静かな美術館内では小さな揺れでも大げさに感じるのだなとは感じた。天井からぶら下がった照明や空調系の什器は音を立てて揺れるものだとも。

名称:TOKYOのモールの想像力-ショッピングモールはユートピアだ
場所:高島屋史料館TOKYO
入場料:無料
期間:2023/03/04〜08/27
見学日:2023/03/05
図録:なし。無料のリーフレットあり

東京ステーションギャラリーのあとはこちらに。三月につづけて二度目の来訪。

様々な言説からひとつのモール論を作っていく様が自分には刺激的であった。
モールの植栽に使われる植物がまとめて展示されているのだが、中にふたつ擬木が混じっていると教えて貰ったのだが、全くわからず…。答えも管理日誌(これも展示の一部)に記載されているのに、見分けがつかないという…

今回のハイライトは5Fの展示も見逃さなかったことではないか。

モールの想像力5階展示

これの本体は4階のメイン展示室に。

これがなんなのかは、実際に現地で見て貰うべきかと思うので、解説はしない。ただ、宇宙の缶詰@赤瀬川原平とだけ述べておく。

名称:君も今日から考古学者!横浜発掘物語2023&横浜の遺跡展 戸塚区舞岡熊之堂遺跡のすべて
場所:横浜市歴史博物館
入場料:常設込¥1000
期間:2023/05/20〜06/26
見学日:2023/06/25
図録:なし

どちらかというとこども向けに考古学とはなにかを伝える展示。

観察して、記録して、情報を得て、推理するというステップをこどもに体験させるのにいい展示だったのではないか。クイズラリーと土器のスケッチさせて、年代と目的を推理させる体験型。大きなお友達にも同じことをさせるスタッフには閉口したのだがw(やりましたよ…恥ずかしさをこらえながらww)。
結果、年代も利用方法も外すという…結構難しいものなのだな。

本来は、同時開催の「横浜の遺跡展 戸塚区舞岡熊之堂遺跡のすべて(埋文センター主催)」への興味でいったのだが、なかなかに楽しめたのではないか。

戸塚区舞岡熊之堂遺跡〜は近年開発された戸塚区舞岡の丘陵地で縄文〜古墳時代の集落跡と戦時中の高射砲基地(というか、そのための聴音&探照施設)の遺跡が発見されたものをざっくりと展示。舞岡あたりにも環濠集落のような物があったとは驚きだったし、聴音&探照施設のそれも興味深かった。というか、市内にそんな部隊が多数配置されていた様子に唖然。レーダーが開発できないが故の方法だったのだろうが、これでは戦争に勝てねえよな。(そもそも準備するのは当然だが、国内のこういう施設を使うようになった時点で戦争はほぼ負けである)

戦争遺跡については冊子も刊行されているとのことなので、興味ある方はそちらを。

名称:没後200年 江戸の知の巨星 大田南畝の世界
場所:たばこと塩の博物館
入場料:¥100
期間:04/29〜05/28;05/30〜06/28
見学日:2023/06/25
図録:なし

横浜市歴史博物館のあと、どこへ行くかに散々迷い(横浜市歴史博物館を見終わっても迷ってたな)、結果的に田園都市線〜半蔵門線で押上へ。SNSで激賞している方がいた故かな。

大田南畝(つーか、蜀山人)についての基礎知識はほとんど無い。江戸幕府の役人で、狂歌の人で、蔦屋重三郎などとも親交のあるひとぐらいなものか。

それが今回の展示では、その官僚としての努力振りや詩文への才能。サロンとでもいうべき知のネットワークのようなもののなかにいた人なのだと知ったかな。

自分としては大阪時代に大阪の知の巨人・木村蒹葭堂との交流があった話や、幕府で銅座(洞に関する行政)に務めたことを知って、とあるミステリーの元ネタはここら辺にあるのかもと推理して楽しむことができた。

あと、いくつか加えれば、杉浦日向子の著作で知った黄表紙の実物を見られたことと、身の回りの物に勝手な来歴を付加してサロンで披露し合う遊び(宝合わせ)があったということかな。なんて高尚な…

江戸時代から戦前まで繋がる民間の知のネットワークの一端を垣間見たように感じたかな。
あと、黄表紙を読んでみなくてはと。杉浦日向子センセ推しならね。

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