Days on the Rove

好事家風情の日常。読書と散歩と少々の酒。

読了本 2023/12

2023年12月は13冊。 本棚登録は42冊。購入は10冊/¥9399。

 

いやげものも勝手に観光協会も親孝行プレイの萌芽を見た。ここにあったんだ。
自由自在、天上天下唯我独尊なおふたりの掛け合いに唸るばかり。

結局後半もまとめ買いをして読み始める。みうらじゅんという天才を見守る秀才いとうせいこう…と思っていたが、どちらも天才であり、妄想と知識と好奇心の塩梅がいいのだ。

 

20年を経た見仏記の深化。旅は身軽(放下したかのような)になり、視点の移ろいと独自の考察の進化が一層の厚みを持ってくる。
そして、見仏される側の認知度の高さにも深化を感じさせるなぁ。

真面目に見仏をしていた頃とは旅の様相が違ってきたのがわかる。インディーズだったふたりが権威化したという感じが。(とはいえ、ふたりのスタンスは変わっていないのだが)

 

現実世界のなかに白昼夢のような奇想が紛れ込む感じ。表題作の商店街のあゆみをじっくりと味わう。自動生命体のような商店街という奇想。思えばろーぽぽの衝撃からずいぶん遠くまできたものだ。

『嗚呼、猫綱さん好きそうな漫画だよね』とはよく言われるが、人に勧めるのは躊躇する漫画家。この味わいを楽しめる人はなかなかいないのかも知れない。(猫綱氏の密かな楽しみ)

 

旅行記であって紀行文ではないという感じかな。それでも中央アジア〜コーカサスあたりのそれは(書かれた時代も含めて)興味深かった。

旅のトラブルを毒づくような文章は読みたくないという意味では、これは楽しめなかった。
それでも中央アジアからコーカサスのそれは面白く読んだのだが。

 

筋書は必ず購入する、と決めているので。(図録もなるべくなら…とは思っているのだが)

 

20年も見仏を続けていると、(若干の老いも感じられつつも)肩肘張らないユルさもいい感じになるようだ。そして真をつく発言はさらに鋭くなっていることにも。TV版、どうにかして視られないかな。

TV版、見てみたいものだ。以前はアマプラにあったような気も。

 

藤原先生の成長物語と、その他の文芸漫画のアンソロジー。よき。個人的には鎌倉ネタにニヤニヤした。

第1巻を読んでいないので、なんとか探したい。いしいひさいちさんはROCAものがブームだけれども、こういう文芸(ミステリー含)まんがもいい味わい。手放した本ももう一度買い揃えたいな。

 

様々な古文書から掘り起こされる隕石の実態。面白かった〜。こういう知的ミステリみたいなのは本当に面白い。
また様々な古文書が翻刻されていないと当たりをつけることすらできないだろうから、その苦労がしのばれる。

2023年のベストに入る本でした。こういう知的興奮に弱いタイプらしい、俺。

 

お帰りなさいの一冊。帯にでていた「酔郷」という言葉、とある建物にでていた言葉なんだね。

こだわりの製本。地域史と酔い方面の考現学の狭間を捉える出版社の一冊。知らない歴史も含めて味わい(酔い)たい。

 

こちらも待ちに待ったサンズイ舎さんの本。工芸・民藝ではなく、日用品・道具としてのモノのなかにある芸術性を捉えた本というべきか。写真の美しさも特筆すべきか。

 

筋書で内容をしっかりと押さえて、観劇にのぞんだかな。むしろ後追いの勉強の方が強かったか。

 

見仏から大きく外れた散歩。それもまたよし。途中の鋭い(鋭くみえる)指摘は相変わらず。ただ、それに執着しないだけである。コロナ禍を経験して、ふたりの見仏がどのようになるのか…続編を読みたいと切に思う。

現状での最新見仏記。おふたりは見仏という概念化から放下というか解脱してきているのではないか。それもまたよき。

 

東京ステーションギャラリーの同名企画展の図録。すべての仏像の写真が掲載されているようなのでありがたい。何故、角丸とか、仏像のまわりに文字を這わせるようなファニーなデザインなのか不明。掲載されている『岩手の北と南』という論考が、様々な示唆に富む内容で良かった。

この企画展に関していえば、図録で何度でもその仏像を見返せるというのが、ありがたい。

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