Days on the Rove

好事家風情の日常。読書と散歩と少々の酒。

読了本 2023/07

2023年07月の読了は14冊。 本棚登録は43冊。購入は13冊/¥11303。

 

モラトリアムとディレッタント。クロスオーバーイレブンのそれは未聴だが、こんな物語だったのね…。ちょっとした苦さが残るかな。

NHK-FMの深夜放送クロスオーバーイレブン(AzymuthのOP・ED曲のイメージが強い。あとは津嘉山正種のナレーションか。ジェットストリームよりもこちらが好きだった)の台本を小説化したもの。
認めたくはないが自分の中にも遊民爺さんはいるのだな。作者の遊民爺さんへの愛は感じるのだが、現実化したら迷惑だよなぁ。他山の石にしなくては。

 

彼が設計した野田市郷土博物館での企画展の図録。同博物館の初期設計や青焼きが多数。博物館設立の経緯なども服寝て興味深い。後半では刊行時に残存していた山田守設計の紹介や山田守の息子の嫁による回想記なども。

東海大学の創設者・松前重義と山田守のつながり(逓信省)ってのも面白いね。建物自体も面白いので、是非。

 

かつしかけいたさんが描いたのは、キラキラでもない否定するのでもない、等身大の東京(いや、東東京・葛飾)だと思う。文中にあった「いいんじゃない?散歩するときだけの友だちってのも」という言葉にグッとくるものがある。

かつしかさんとSNSで繋がったのはTwitter(現X)でも結構古い頃ではないか。立石駅地下通路で開催されたトークイベントも懐かしい。
かつしかさんは(自分もだが)特定のまちのリアリストなのだと認識しているが、俯瞰的な視線があることが魅力なのだと思う。そしてその場所に生きとし生けるものへの愛があることが。
立石、また行きたいな。風景が激変する前に。

 

刊行当時('75)の東京の世相を映した写真が良い。

平凡社のコロナブックスの元ネタはこれらの叢書だったのね。池波正太郎の文体(随筆のだけど、小説にもときどき)に、っぽさを感じる。司馬遼太郎のそれがパスティーシュにできるように。(司馬遼太郎と違って、こちらにはリスペクトしたいのだが)

 

2004年の広告のトレンドをおもいだすなど。にしても、広告批評という雑誌は広告の批評にとどまらず、社会批評だったのだなと改めて思った。いい読者ではなかったのが悔やまれる。

広告は世相の反映であり、広告批評は広告の技術的評論誌ではなく、社会批評だったのだということにようやく気がついた。良い読者ではなかったのが本当に悔やまれる。唯一無二の雑誌でしたね。

 

谷口ジローと稲見一良という最の高の組み合わせ。ただただ満足。金圭花のセリフ「用があれば口笛を吹くのよ」に原作を読んだときのことを思いだした。

自分の漫画読み人生に影響を与えている漫画家のひとりだなと改めて感じた。もう原作を読んでもこのイメージで頭の中で再生されるのだろうな。

 

8巻。表現・規制との戦いを実に映像研らしいやり方で乗り越える。そしてゾワンデと師匠の話が切ない。

敵だと思っていたソワンデが実はこちら側の人間だったという衝撃。ソワンデの戦い方がクラシックであるからこそ、映像研の面々の軽やかな(そして毅然とした)戦い方が際立ってくるのではないか。いや、戦いなのではなく、自分たちの表現を押さえ込もうとする体制側に対する不満や憤りを、自分たちの表現したいものを明確化することでしっかり昇華させたのだと感じた。

 

嗚呼好きなんだな、こういうカラリとした物語が。

その昔SFマガジンに掲載されていた須藤真澄の漫画と似たものを感じたかな。
叙情的なSpeculative Fictionみたいな物語。

 

おっ、いいね。

作者が取り上げもモチーフにちょっとしたシンパシーを感じるのは何故か。うまく説明できないのだが。

 

戦前の商業広告(父親)や、PR誌ロッコール、アドセンター時代の話が面白い。もちろん、絵本の裏話も。

こどものとき大好きだった絵本が彼の絵によるものと知って以来、気になる人物なんだよなぁ。

↓これね

 

 

著者 : 友清哲
有隣堂
発売日 : 2023-06-01

横浜のビール史(ということは日本のビール史)。ビール史がそのまま、横浜の郷土史であるということなのだなと感じた。ただ、後半のクラフトビールはもっと地域のブルワリーの紹介をしても良かったのではあるまいか。味わいや取り組む姿勢の優劣はともかく、今のブルワリーの歴史アーカイブとして。
個人的にはそこが不完全燃焼出会った。

 

オタク×ギャルの漫画。まあ、それだけではなく、自身のアレコレをギュッとするような話であった事よ。一番は、図書室が舞台というのもあるのだろうが。

 

東京を散歩した画文集。視点が軽やかなのもいい。
紙型はペーパーバッグサイズか。ISBNのバーコードや価格などが帯にのみあるという本も珍しいのではないか。

東京を記述する方法はいろいろあるのだろうが、こういうサラリとした記述もいいのだなと感じた。

 

知人から勧められて(本を押しつけられて?)読む。中央アジアの物語は良き。
主人公の持つそれが、こちらの性癖(語弊)にドンピシャでした。次巻以降も読むだろうともいます。(他に勧められて押しつけられた他の三冊は、知人の純粋さの表れだとも思いましたかね。いかにも彼らしい物語でした。)

 

そして七月末の積読

 

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